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おもいびと
◆渇望11






おれたちはなんだろう?



ずっと傍にいて。
全てを分かち合ってきた。

たぶん。
今までの弟にとっての世界は。
おれとの世界そのものだったのかもしれない。



あの、月明かりの夜に抱いた、この世界にたったふたりきりで存在しているかのような厳粛な気持ちが、今も続いていたことに気付いて。

おれは弟を憐れだと思った。



いつも傍にいたのがおれだった。

保護するものがおれだと思い込まされて。
親ではなく、おれに育てられたとでも思い込んで。

常識が怖くて、自分の気持ちを封じ込めたおれは。
そんな弟の想いを長い間放置していたんだ。



おれは、陸をベッドに導いて。
震える陸を包み込むように、上からそっと抱きしめた。

手のひらを合わせて、ギュッと握りしめる成長した手が歓びを伝える。

甘える声が俺を呼んで、少し声変わりしてきたんだな…と知る。

そんな事にも気付けないでいたおれは、傍にいてやれなかった事の方を後悔した。



手のひらに伝わる熱は、以前より熱くて。
成長した身体が、ガキの頃よりも抱き心地がいいなんて。
やっぱりおれはイカれてる。



夏休みの午前10時。
両親は仕事。
家にはおれたちふたりきり。

今日の予定は特になし。



おれは、ベッドに陸を押し付けたまま。

まるで、恋人にでも贈るような、優しく熱いキスを陸に落とし続けた。



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あきゅろす。
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