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おもいびと
◇WAY OF LIFE4









 どうしよう

 どうしよう海斗

 おれは
 どうすればいい?



 そんな事を思って迷っているうちに、目の周りとか鼻が熱くなってきて。
 喉の奥が痛くて。
 おれ、やっぱり泣くのを我慢できなかったんだなって悔しくて。
 でも、振り向くと海斗まで同じように泣き出してしまいそうな顔をしていたから、おれは思わず海斗を抱きしめた。

 当たり前みたいに海斗は抱き返してくれて。
 昨夜の傷が痛んで、自分たちのしたことを実感したけど。

 触れ合う頬があったかくて。
 懐かしい想いが込み上げてきて。
 余計に愛しくて、涙が止まらない。



 そして、思い出したんだ。

 おれたちは兄弟で。家族なんだってこと。



 例え、どんなに離れていても、その絆は失われることはない。
 どんなに離れていても、お互いを想いあって。心を寄せ合って。

 ずっと、永遠に、気持ちは寄り添っていける。

 それが、家族だよね。海斗。
 海斗はそれをおれに伝えようとしてくれたんだよね。



 だからおれは、ちゃんと送り出してやらなきゃならない。
 辛いのは、独りで知らない所へ旅立たなければならない海斗の方なのに。

 迷う海斗の背中を押して。
 おれが送り出してやらなきゃ。





「いってらっしゃい、海斗」

 そう言って、触れる頬にこっそり唇を寄せた。
 海斗は何かを思ったように、おれを抱く手にギュッと力を込めた。

「……行ってくる」

 一瞬ざわめきが消えたように感じた。
 海斗の声だけが耳に届く。

「行ってくる、陸」

 おれの肩に顔を埋めて、声を押し殺して泣いている。

 愛しい。愛しい海斗。



 おれも大人になる。
 海斗を守れる強さを身に付ける。

 約束するよ海斗。

 だから……。



「必ず帰るから……陸。待っていてくれ」



 先に言われてしまった。

 嬉しい。



 うん。海斗。

 約束だよ。



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あきゅろす。
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