おもいびと
◇WAY OF LIFE1
暖かいぬくもりの中で目覚めた朝。
海斗の顔が近くにあって、おれを見つめている。
大好きなその笑顔にぼんやりと見とれていると、頬にそっと唇を寄せられた。
ひとつのシーツにくるまって。
キスをして。
抱きあって。
愛しさを込めて撫でる指先がくすぐったくて。
こんな朝をずっと迎えたかったと実感して。
「おはよう」
言ってみたかった言葉のひとつを口にした。
「おはよ」
海斗はクスクス笑う。
何かおかしかったかな?
幸せそうな笑顔が、あったかくて嬉しい。
こんな生活をずっと繰り返していけたら……
思った時に、携帯のアラームが鳴った。
それは、ベッドから出ていかなければならない時間を知らせて。
おれたちの笑顔はそこで冷えてしまった。
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