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おもいびと
◇時つ風18





「……悪い。ゴム、使いきったから出来ないんだ」

「え?」

そんなに物欲しそうな目で見てたのおれ!?

「え?……そんなに、やりたいの?」

おれの驚きに驚いた先輩。
勘違いされた!?

「……あんなに達ったのに、まだ足りない?」

先輩はこれ以上ないってほどの色っぽい笑顔でおれに迫ってきた。

「や!そうじや、なくて……ぁん、ぅ」

また、首を吸われて、下半身が疼き出した。

「そんな可愛い声で誘われたら、断れないんだけど」

少しだけ充血し始めたおれをやわやわと刺激して、先輩はまたおれを抱き寄せた。

「わがまま。……可愛いココ、こんなに硬くして」

「や……あ、……だめ」

「……りーく。だめだろ?……そんな顔して可愛く誘われたら、先輩は我慢利かなくなる」

ベッドに組み伏せられて、首に、肩に、キスをもらって。
不埒なおれはまたその気になってしまう。

快感だけを突き詰めて合わせる身体は、遠慮なく欲を露わにする。

胸を吸われると、あそこがキュウって疼いてたまらなく感じてしまって。
それを先輩に知られて、先輩はおれの乳首を愛撫してくれたけど。
指と舌で、捏ねられて抓まれて、ヒリヒリしてくるまで触られて。
そうしたらもっと感じるようになってしまって収集がつかない。

「や……あ、ん……ダメ……」

「そんな可愛い声聞かせちゃダメだって」

先輩は意地悪そうな表情でおれを見下ろす。
そして、おれのそこに先輩は押し当ててきた。

「や……もう。やめ」

「止まらない」

先輩は簡単におれの中へ挿入ってきて、さっきゴム無いからダメだって言ったくせになんだよ……って顔したら、おれをからかうような表情で返して容赦なく奥まで突き入れられた。
上から差し込まれて、内臓が奥まで押し上げられる感じ。

こんな風に征服されたら、同等な意識が揺らいでしまう。

「……やぁぁ……ぁ、ん……うぅ。いじわるぅ……」

「りーく。ダメだって言ったろ?……可愛いと止めてあげられない」

優しくおれを誘惑して。
おれをめいっぱい甘やかせる。


どうして先輩は、こんな風におれを『抱く』んだろう。
初めてした時とは、全然違うイメージだ。

あの日はふたりで『やった』って感じなのに。



可愛がるように、愛おしむように。
甘えることを許されて。

愛されることが快感でたまらなくなっている。





気付いた時にはもう

後戻りなんて出来ないほど



……おれは



抱かれる快楽に溺れていた




時つ風
──終──





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