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おもいびと
◇時つ風5





一月の第二週。
週末は大学入試の一次試験だ。



海斗は大丈夫。
きっと合格する。

そんな風に信じて、おれは合格祈願画像と共に、メールを送った。

『ありがとう。陸のために絶対に合格するから』

そんな返信をもらって、やっぱり海斗はおれの事を思ってくれているんだって嬉しくなった。



そして『結果は上々だ』と、発表の日にメールが来た。

「二次試験も頑張って」

おれは必死にメールを打った。

海斗は笑っているらしくて、おれの方が緊張しているみたいだ、と余裕で返してきた。



だって。
必死にもなる。



会いたくてたまらなくて。
海斗が欲しくて。

早く一緒に暮らしたいから。



高校を卒業したら、海斗は家を出てひとりで暮らすことになっていた。
気が早いかもしれないけどって言いながら、両親は賃貸契約の書類や入学手続きに必要な書類とかを用意して海斗に送っていた。



独り暮らしなんてさせない。
おれは絶対に海斗とふたりで暮らすんだ。



海斗だってそのつもりで独り暮らしを言い出したんだし。



『一緒に、幸せになろう』



そう言ってくれた海斗は、すごく優しい目をしていた。



もう少し。



もう少しの辛抱だから。

おれはそうやって、おれ自身に言い聞かせていた。



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あきゅろす。
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