おもいびと
◇時つ風4
クリスマスライブをきっかけにして、おれは軽音部の先輩と仲良くなった。
中学の時に少しだけウッドベースをかじって、ジャズを知っている先輩。
海斗とは全く違うタイプなのに、おれを見る視線が海斗と同じで安心できた。
犬を撫でるみたいにおれの頭をガシガシと撫でる。
その手は海斗とは違うはずなのに、海斗みたいに温かかった。
恋とか、愛してるとか。
そんなんじゃない。
どう言っていいのか分からないけど。
あったかくて安心できたんだ。
傍にいて、同じ時間を共有しているだけで、居心地が良かった。
先輩は、あまり話さない。
どちらかと言えば無口な方だと思う。
でも、おれにくれる言葉はどれも優しくて、穏やかな気分にさせてくれた。
おれは、そんな先輩が好きだった。
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