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おもいびと
◆恋慕10





隙間なくぴったりと合わせた唇が熱い。
柔らかな感触よりも、その熱さに煽られる。

与える愛撫に、喉を鳴らして悦びに咽ぶ陸は、淫らな姿で自身を慰めながら、更におれの熱を欲しがる。

くちづけを離して、耳許をキスでなぞると、甘い声を洩らして顔を歪めた。

「ぁ……あんぅ……かい、と、い……いい。は、あぅ、ん……」

言葉にならない快楽を伝える声と吐息が、陸の陶酔を知らせて。
おれは誘われるままに、陸の首から胸にかけてキスを落とし続けた。

その間も、欲の塊を上下する手は休むことなく刺激し続けていて。
また、背中を伸ばして唇を求めたおれは陸の顔を見つめた。

苦痛に耐えているような顔は、迫り来る絶頂期を示して、閉じたまぶたには涙が滲む。
その様子がたまらなく淫らで、煽られたおれは夢中で陸の舌を味わった。

「海斗……海斗!!」

キスを交わしていると、いよいよ切羽詰まった陸は、喘ぎながら唇を離した。

食い締めるような口元と固く閉じたまぶたが陸の状態を示して。
陸がいきそうになっている事を知る。

陸の肩が忙しなく上下して、自身を最後に導こうとしているのが分かる。

「陸……気持ちいいか?」

おれ自身もメチャメチャ興奮させられて、これ以上は我慢できない。
だから、少しだけ陸を煽って、耳に舌を滑り込ませてから囁いた。

陸の身体がビクンと跳ねて、大きな波に捕らわれた。

「いい!きもちいいよ!……海斗。海斗!あ、あ……いっちゃう!いく!どうしよう、どうしたらいい?海斗!!海斗……」

吐き出したい衝動に呑まれて、蕩けた顔を切なく歪めて身悶えしながらおれを見上げる。

密着した上半身から、暴れる心臓の鼓動が伝わって、これ以上はもう続けられないだろうと思えた。

おれだって、あまりに悦すぎて、正直これ以上は持ちそうもない。
快楽はコントロール出来ても、気持ちも衝動も自制するのは無理だ。

おれも、陸のペースに合わせて刺激を強めた。

「いいよ、一緒にいこう」

囁きを落とすと、陸は泣きそうな顔をして、おれの身体に更に全身を密着させてきた。
気づかなかったが、すでにふたりともうっすらと汗をかいて、その感触までが快感と衝動を増長した。

「あ、あ、んん……いぃぃくっ!!……いく!いくぅ……海斗、海斗……ぃうぅっっ!!」

陸の身体が強張って、小刻みに全身を震わせた。
途端に熱い飛沫がおれの身体に飛び散って、独特の匂いを放つ。

その匂いに当てられて、歯止めの利かなくなったおれ自身も、不埒な白濁を陸の胸にまで飛ばしていた。

瞬時に冷めてゆく興奮の名残に肩と胸を上下させて、酸欠になりかかっていた全身に酸素を満たす。

おれたちは、汗と体液にまみれた身体を、ためらいなく抱き寄せ合って、幸せな体感をかみしめながら、また、深く、離れがたい感情でキスを交わした。



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あきゅろす。
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