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おもいびと
◆恋慕8





色々葛藤しながらも、本当は可愛がりたいおれと、甘えたくて仕方がない陸が、あわせて出した結論は、自分でする……という条件付きで。

服を脱いで、向かい合って、左手は互いに握りあったまま。
おれたちは、自分の手で自身を慰めた。



見つめあって、互いの表情が熱に潤んでくるのを眺めながら、行為に耽る。
目の前に、快楽に喘ぐ陸の顔があって、絡んだ指がきつく互いを求めあって。
下半身を支配する疼きは、蕩けるような気持ちよさでおれを酔わせる。

自身の快感をコントロールしながら、陸の表情が切なげに歪んでくるのを眺めていると、陸は視線で誘っておれを求めてきた。

なんて、色を示すんだろう。

たかが16の男の表情じゃない。
その媚態は、恋愛に溺れる深情けな大人の女みたいだ。

「い……」

「いく?」

「きもちいい」

陸はそう吐息と共に呟いて、堪え切れないような風情でおれの胸に甘えるように寄り添ってきた。

「海斗、熱いよ。カラダ、熱い」

「陸」

「海斗もきもちいい?」

「──きもちいい、陸」

既に、おれは限界が近い程に感じていて、すぐにでもいけそうなのに、いってしまうのが勿体なくて。

もっと、この快感を共有していたくて。

このまま、時が止まってくれたら……。



そんなことを思っていたら、陸が切迫したような切ない声を洩らした。



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