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おもいびと
◆恋慕7





「こういうのがいいんだ。おれたちは段階をパスしすぎた」

おれは正直に陸に伝えた。

焦る事はない。
おれたちは、いずれはそんな関係になっていたかもしれないけれど。
もっと、ふたりでいる時間を大切にして、もっと、互いの気持ちを確信するべきだった。

「でも……ここ……。硬い」

陸の手がいきなりおれのを触ってきた。
こういうところは大胆で、驚かされる。

「触んな……我慢だっつったろ」

「やせ我慢」

「いいから寝ろ」

「海斗」

「うん?」

「好き 」

甘ったるい陸の声がおれに絡み付く。



あああああああ────っっ!!
ちくしょう!!
飛び道具使いやがって!

収拾つかなくなっただろうが!!



「――うん。おれも好きだよ、陸」

やおら興奮させられて劣情にさらわれたおれの動揺は悟られてはならない。
我慢が肝心だと自分に言い聞かせる。

「海斗、我慢できない」

「え?」

「どうしよう、変な気分で。辛いよ」

「我慢……」

「出来ない。酷だよ。辛いよ海斗。こんな状況で、何も感じない方がどうかしてるよ!!」



――コイツはもう、犯罪だな



「……したい」






おれは、とことんコイツのおねだりには弱いらしい。

傍に居るには、強い自制心が必要だと思えた。



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