おもいびと
◇蓮の棘9
高校に入ってから半年以上が経っている。
おれの唇が海斗の首筋に届くくらいには身長も伸びて。
今ではきっと、背伸びなんかしなくたってキスくらい出来るんだろう。
身体も気持ちも。
いつまでも昔のままじゃない。
本当のおれは、欲に抗いきれないただのケモノで。
さんざんヤってきたおれの姿を知っていながら、海斗はまだおれの現実を見ようとしない。
海斗の心の中では、おれはまだ何も知らない子供のままで。
守らなければならない弟だという自制心と、おれを色に染めた罪悪感で。
身動き一つ出来ないで、自分自身を責め続けているに違いない。
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