爆音オルガスムス
6
「きみ……ライブで興奮するんだ?」
声を掛けてきた女は、おれがライブの後トイレでヌいてるのを暗に知っていると仄めかしてきた。
――知られた。
やべぇと思った。
なのに女は、興奮したおれを、おれがいつも使っているトイレの奥の個室に連れ込んで。
おれは、何が起こっているのか理解できなくて。
ベルトを外されて、ファスナーを降ろされて。
おれのそこは、直に触れられた。
「へぇ……意外に立派じゃん」
そんな風に声が笑っている女の顔は、派手な化粧で表情が掴みにくい。
「君……いくつ?」
個室の壁に背中をつけて立ち尽くすおれの前に女はしゃがんで。
おれの硬くなったそこをパンツから引きずり出して手で握った。
「13」
「中1?」
「うん」
「じゃあ……初めてだ」
「何が?」
「ふぇらちお」
女はおれの意志なんて構う事無く、勃起したおれを口に含んで舌で擦りだした。
「――っあ!!」
思わず洩れた声を女の手に塞がれた。
声を出したら、外に気取られる。
いくらおれでも、これがヤバい事なんだって分かっていた。
だけど。
もう離してもらえない。
いまさら止めてほしくない。
両手で扱かれて。
舐められて。
おれはただ、出したくて。
吐き出したくて。
チョコレートみたいに腹ん中が甘く溶け出して。
メチャクチャに興奮して。
シフォンケーキみたいな色の盛った髪を鷲掴みにして、女の口ん中におれのねばねばを出してしまった。
女はおれを離してから笑いながら舌を見せて、その上にある白く濁ったおれのものを手のひらにとろりと出して受け止めた。
「いっぱいでたぁ」
と、無邪気に笑顔を見せる。
その、在るがままの性を肯定するような行為は、おれにとっては衝撃的な光景だった。
女は高1。
バンドの追っかけをしている。
バンドの男とそういう関係で、でも彼氏じゃないと言っていた。
付き合おうか……と、女は言ったけど。
おれは。
音楽を聞いて。
ひとりでパンツ濡らしてる方が気持いいから。
べつにどうでもいいと曖昧に答えていた。
それでもおれは。
やっと訳の分からない何かから解放されて、卒業できたような気がしていた。
「名前……なんていうの?」
「トキオ」
「――可愛いね。トキオ」
おれは初めて、家族以外のひとから笑顔を添えて名前を呼ばれた。
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