爆音オルガスムス
5
ライブは気持ちいい。
おれは叔父のライブハウスに通い詰めて、パンツを汚さないで気持ちいい事を完結する事を覚えた。
全てのバンドがいいわけじゃない。
重たい爆音を叩きつける本物のテクニック、音質そのものをクリエイトするアーティスト。
それが一番気持ちが良かった。
好きなバンドのライブは必ず見に行った。
演奏の間は、気持ちいいのをためこんで。
刺激しないで、出さないように我慢して。
終わると同時にトイレに駆け込んだ。
初めてパンツを汚した日。
おれの身体に起こった変化が一体なんだったのかを調べて、おれはそれが病気でも何でもない事を知って安心した。
そういうことが男の身体には必ず起こるってことは、兄ちゃんも親父にもあるってことで。
みんなパンツを汚さないために工夫してるって事も知った。
一番奥の個室に入って、ズボンを下げて便器に座る。
最近、勃ったそこはすごくデカくなってきて。
皮を剥いて擦るようになったおれのそこは、充血するたびに鰓の張ったウナギみたいなカタチになってきた。
先の方が気持ち良くて、擦っているとぬるぬるしてくる。
それが指の滑りを良くして、さらに刺激倍増で。
フロアから聞こえる音が身体を包み込んで、気持ち良さに陶酔する。
そんな状態になるともうどんな音でも気持ち良くなってきて。
おれは夢中になってグチャグチャに濡れた先端を擦り続けた。
そうすると、切ない疼きが背中から落ちてきて、泣きたくなるような虚しさと、甘い痺れに伴って、あの白く濁ったねばねばがどくどくと噴き出してきて手のひらを熱く満たした。
精液ってこれなんだと知ったのは、パンツを濡らしてすぐ。
今は、おれもちゃんと汚さないで出来るようになったけど。
精液が噴き出る様子を眺めるたびに、これが人間になるんだな……とか思ったら、自分自身はこんなものから始まったんだと笑えてきた。
自分だけじゃない。
うるさいクラスの連中も、ウザいハゲの担任も。
みんな……素はこんな汚いねばねばじゃん。
笑える。
こんなもの出なくたっていいのに。
本当は……ずっと出さないで。
甘い疼きに酔ったままでいられるなら。
おれはその方が良かったんだ。
パンツが汚れるから、仕方なかったんだ。
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