爆音オルガスムス
4
疼いていた部分を擦っていたらパンツが汚れた。
臭くて変なねばねばが出てきたからアソコが腐って死ぬのかと思った。
気持ち良かったから死んでもいいとか思ったけど。
その前に叔父に会いたくなった。
母さんに聞いて、叔父は今、市内でライブハウスを経営していると知った。
なぜか叔父とは交流がなくて。
だから面識もない。
けどおれは、あの感覚が何だったのか知りたくて、無理を承知で叔父に会いに行った。
「もう音楽やってないの?」
初対面で不躾な質問。
なのに叔父はくすぐったそうにおれを見て、おれの正体を察したようで。
「母さんに似てるな」
と、おれをすんなりと受け入れてくれた。
質問の答えはもらってない。
「興味あるなら聞いていけ」
ただ、そう言って店内に入ることを許可してくれた。
土曜の夜のライブハウス。
初めての空間。
初めてのライブ。
そして、初めての生音に触れた。
振動に全身を撫でられているような感覚。
身体が自然に震えだした。
これだ。
この振動。
気持ちいい
気持ちいい
気持ちいい
真っ暗で、眩しくて、音が溢れている、信じられないくらい居心地のいい空間で。
初めて叔父のCDを聞いた時から、この音楽を聞くたびに繰り返し訪れていた得体のしれない痺れと疼きを、おれの身体はこの時初めて『快感』と認識した。
気付くとおれは、またパンツを汚していた。
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