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救世主(仁王目線)
救世主(仁王)


この笑顔を守るためなら

詐欺師もヒーローになれるかもしれない


救世主(仁王)



『葉月、おはようさん』
『……おはよう仁王君!』
『ははは  今日も元気そうで何よりじゃ
それにしても……相変わらず葉月の頭は撫でごこちがいいのー』

髪をクシャクシャと乱れるように触る
前より随分短くなった髪はフワフワで柔らかい
……………いつもの感触

『やめてよぅ……せっかく寝癖直したのに……』
『………そんな顔されるともーっといじめたくなる…………知っとるじゃろ?』
『……〜!!!』

顔を真っ赤にする葉月は今日も愛らしい
……………いつもの光景


クラスのヤツらもそんな光景に慣れているようだが………

中には  恨めしそーに  ワシを見ておるヤツもいる…………




あの日以来、葉月に対しての誤解が解けたのは嬉しかった
が………以前にも増して  葉月を狙う男が増えたのはいただけない。


前は密かに想いを寄せていたらしい隠れファンクラブ≠ネる連中も………明るく話しやすくなった葉月に対して
馴れ馴れしく 話しかけるようになった……
……どうも面白くない

周りの男どもに牽制するように
毎日  ワシは葉月にちょっかいをかける


………以前の葉月にとっては友達≠フ俺は特別
だったかもしれない…

でも今はどうだ……

葉月にとっては   もう  だだの友達≠ノなってるのかもしれん…


…………………………………………


『葉月!……今日も部活見にきんしゃい』
『……うん!!』

『……じゃ…待ってるぜよ』

『部活頑張ってね!!……ブン太君も!』


そう言うと葉月は笑顔で手を振りワシらを見送ってくれた
……悔しいくらいに可愛い…………

………………この笑顔を守りたい
だから今の関係を壊したくはない…

でも……友達の1人じゃ満足出来ない……

考えながら階段をブン太と2人で降りて行く


『…………若槻…可愛いくなったよなー』

『……葉月は前から可愛いぜよ』
ブン太をニラむ

『はは…そーんな怖い顔しなくっても盗ったりしねーよ』
『ワシだって盗られたりせん』
『まーな!!でも  うかうかしてるとどっかのだれかに盗られちまうぞ〜??……お前がいるから簡単に手だし出来ねーだけで
アイツを狙っているヤツけっこー多いぜ??』
『…………。』
『ま!俺としては……お前が部活サボらなくなっていい事なんだけどよ!真田にガミガミ言われなくなったぜ!!』
『………………………ワシ……そんなにサボってたか?…』




………………………………………………………

 
練習が始まっても ブン太の言葉が頭から離れない


『うかうかしてると………か』

キャーキャー言っとる人混みの中から葉月の姿を探す
見つけた…………
……少し離れた木陰から1人でこちらを眺めている


『…………仁王君』
『…なんじゃい柳生』
『独り言なんて珍しいですね』
『……口から出とったか』
『フフフ…彼女の事でしょう??今日も練習を見に来ている……』
『………相棒にはお見通しじゃの』
『もうすぐ休憩ですし、彼女が気になるのなら
声を掛けてきてはいかがですか?』
『………そうする…悪い虫が付くと困るでの』
『…そうですね』

……さっき葉月の後ろに男がおった
アイツは多分、葉月が1人でおるのを見つけて
話しかけるつもりだろう


『……葉月!!』
『……おーい…聞こえとらんのか…??』

葉月はハッとした様子でこちらに駆け寄ってきた
……これで一安心
ついでにソイツをチラリと睨むと、バツが悪そうな顔で去って行った

『ご、ゴメンね、ちょっと考え事してて……』

葉月は自分が狙われていた事に全く気づいていないようだ…
危なっかしい…だから放っておけない


『……なんか悩みか?』
『えーと…たいしたことないから気にしないで!
何か用だった?』
『……いや、用は無いんじゃけど……葉月が見えたから呼んだだけ』
『……!!…そ、そっか…』

葉月は  嬉しそうに笑っている
……その顔に期待してしまう

葉月の目には
俺はどう映っているんじゃろう……友達?……それとも……


『………………練習終わるまで待っとってくれるか?』

『……もちろん!練習頑張ってね』

その顔に  ついついこちらも笑顔になってしまう
離れ難い気持ちを治めてコートに戻る


『……彼女  悪い虫が付かなくて良かったですね』

『あぁ……見とったのか?』
『彼女の後ろに男性がいるのに  私も気づきましたから
………それよりも仁王君』
『…なんじゃ?』
『随分いい雰囲気に見えましたが  お二人は付き合ってはいないんですか??』
『………残念ながらの』
『……彼女、奥手のようですし…正攻法でいかなければ伝わらないんじゃないですか??』
『………正攻法ねぇ……ワシ………苦手なんじゃけど…』
『……純粋過ぎて、仁王君のペテンにかからない人もいるって事ですよ!……………私は応援していますので』
『……親友のアドバイス……ありがたくもらっておこうかの』
『…ええ!そうして下さい!………それよりも仁王君……』
『……ん?』

『休憩中と言えど、身体も休ませずに女子にうつつを抜かすとは
言語道断!!たるんどる!!』

『……ご覧のように真田君がご立腹です』
『……………………しまった…』



…………………………………………………


『たまには本音を伝えようかの?』

そんなこんなで  あの放課後に続いていく………

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あきゅろす。
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