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委員長(仁王)
委員長


真面目でしっかり者で

………俺とは違う生物


委員長

『……………仁王君…みーつけた!!』

『……また  お前さんか…………』

してやった!!みたいにイタズラっぽく俺の目の前で笑う


『5限目借りて海原祭の話し合いする事になったから
ちゃんとクラス全員に来てもらいたいの………ホラ!立って!!』

『………しかし……なんで  いつもお前さんには見つかって
しまうんじゃろのー………………ここなら誰にも見つからずに昼寝出来ると思ったんじゃが………』

『つべこべ言わずに歩く!!私が委員長の間はだれもサボらせないよ!』
『……………相変わらず真面目じゃの……』



この堅物………こと  水無月つぐみ  は3年B組のクラス委員 

いつも真面目でしっかり者
ウチの柳や幸村に肩を並べるほど  成績も優秀
その上  明るくハッキリした性格で人望も厚い

…………………まさに優等生って感じのヤツ

…………俺とは違うイキモノ






『……仁王君ってネコみたいだよね』

教室に戻る途中
水無月が  突然そんな事を言い出した…

『………は?……猫?』

『そう……自由気ままで掴みどころないし…よく寝てるし…
なんだかネコみたい!!』

『………はぁ……………そうかのー……』

『私、ネコ大好きなの』

『………え?』
『………あ!先生に資料印刷していただいてるんだった!!
一緒に教室戻れないけどサボっちゃダメだよ!』


そう言うと、水無月は慌ただしく職員室に消えて行った…

『……………………一体どういう意味だったんじゃ…』


………………………………………………………

海原祭≠ニは立海の中、高、大が合同で行う文化祭で
規模は他の学校とは比べ物にならんほど大きなイベントだ

それにともなってクラスで話し合う事が
この時期は多くなるが…………俺はこういうのが苦手じゃ…

『じゃあ次の議題は………模擬店について話し合おう!!
意見がある人は手、あげてね〜』

………………水無月は進行役をしながら
テキパキと意見をまとめて黒板に書き写している……

相変わらず関心する…。
面倒事が大嫌いな俺には絶対できんことじゃ……

……コイツはなんでこんなに面倒な事も一生懸命出来るんじゃろう…

俺には理解できない…………
そう思いながらウトウトと目を閉じると
すぐに眠気が襲ってきた……


『………仁王君…』
『仁王君!!』

呼ばれてボーっとしながら返事をする
『……………なんじゃ…委員長…』

『なんじゃ?じゃないでしょ!!…………………寝てたよね…?』

『いやいやいや、バッチリ起きとったけど?』

『……いくら仁王君でも…そんな事では騙せないよ…?
じゃあ、さっき丸井君が出した意見を言ってみて??』

『……どうせブン太は食い物屋じゃろ??』
『うるせー!!どうせってなんだよ!別にいいだろぃ!!』
『どうせ……って、絶対聞いてないよね…』

………こんなやり取りにクラスの奴らは楽しそうに笑っている…

『ほら!やっぱり寝てた!………バツとして仁王君には放課後
私の手伝いを任命します!!』

『…………え〜………』

『え〜じゃないでしょ!…今日は部活ない日だったと思ったけど?』
『………………はぁ〜……わかったぜよ…』
『あはは、ありがとね!!』
   


………そんなことで放課後   水無月の手伝いをする事になった


………………………………………………………


『無理矢理手伝ってもらっちゃってゴメンね』


『……じゃあ帰っていいのか??』
『ダメ。貴重な男手だもん』
『はいはい……で、何を手伝えばいいんじゃ?』
『あのね………資材倉庫の整理を手伝って欲しいの』

『……………倉庫?』

………………………連れてこられた倉庫は小さいながらも
色んな資材でごちゃごちゃしている

『…………帰っていいか?』
『ダメ。』
『しかし…………いくら働き者のお前さんでも
学校の倉庫整理は学級委員の仕事じゃなかろう?』


………………ガチャッ……

鍵を閉める音がひびく

『…………水無月?なんで鍵を…………』

『私………』
水無月がゆっくり俺に近いてくる

『仁王君と2人きりになりたくて……それで……』
更に  水無月は俺に近く




好きなの

………昼間  水無月が言った言葉を思い出した………


2人の距離はどんどんと近くなる…………!!



ジリッ……ジリッ……



『〜〜〜ッ!?ま、待ちんしゃい!!………俺はッ……!!』

慌てて水無月の肩を掴む



『………………ふふふふふ』

『!?』

『あはははは!焦った!?………詐欺師を騙せるなんて
………私   女優になれるかもね??』

…………キョトンとするしかない
まさか  この  俺が騙されるとは……!!

『真面目な 私がやるとビックリしたでしょ!?
ギャップ作戦!!………………ドキドキした??』


ドキドキした?じゃない!!!
まだ心臓がバクバクしている……
俺の純情を返せ…………


水無月は何事もなかったようにクルリと振り返ると
鍵を開け、トビラも大きく開けた

『…………まぁ…冗談はさておき………
仁王君と2人きりになりたかったのは本当だよ?』

『………え??』

『ね……仁王君…海原祭の準備つまらない??』

『…………………!!』
『確かに準備とか話し合いとか…面倒かもしれないけど………
私は…クラスみんなに楽しい思い出をつくってほしいの…』


『仁王君は  こういうの嫌い??』
水無月は複雑な顔で笑っている………



『…………逆に聞きたいんじゃが………なんでお前さんは  そこまで
人のために頑張れる…??』


『…………私、こういうの大好きなの!!』

そう言うと  水無月は整頓を始めた

『……こんな面倒な事が…??』

『…う〜ん……なんて言うのかな…………
こう………一からモノを作り上げていくのって面白くない??』

『………俺には理解できん……』


『………………仁王君ってさ………テニスしてる時カッコいいよね』

『……突然なんじゃ…』

『一生懸命  汗かきながら走ってさ………大変なのに…
でも  ものすごく楽しいでしょ?』
『………………まぁ…そうじゃが……』

『それと一緒なの……こんな事でも一生懸命やれば
必ず楽しい事につながるんだよ!!』

……そう言うと水無月はダンボールを手に満面の笑顔をみせた




…そうか、コイツはなんでも楽しめる天才なんだ
真面目なだけじゃない…そういう才能があるんじゃな………

俺も  楽しいと思えるようになるんだろうか…
……………そう思うと、コイツと2人で整理をするのも悪くないように思えてきた



『あ………そうだ』

『…なんじゃ??』

『わたし、仁王君が思ってるほど真面目じゃないよ??』

『………は??』

『……さっき  勢いでキスくらいしとけばよかった』

『………………!?』



……………………………………………………………………


俺のクラスの委員長は

真面目でしっかり者で……

俺はどうにもコイツに勝つことができない……

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あきゅろす。
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