心拍数（幸村）
心拍数
貴方の隣に居るだけで
上がりっぱなしの心拍数
心拍数
美人な彼を持つと苦労する。
なぜなら……………
『サクラ お昼一緒に食べよう？』
『…………！！…………う、うん……すぐ行くね！』
私のクラスまで わざわざ 迎えに来てくれる優しい彼
普通なら幸せ過ぎる事………
なのに素直に喜べない自分がいる………
コレだ…………
（…………………………ジロジロ……）
…………………………………この突き刺さるような視線………
彼にはたくさんのファンがいる………
その人達を差し置いて 彼と付き合える事になった自分は
とびっきりの美人でも才女でもない
…………そんな私に不満を持っているファンも多いだろう………
『…………………どうしたの？？』
よそ事を考えていたのが分かったらしく
持っていた飲み物を置いて
心配そうに 私の顔を覗き込む彼…………
……………………………そう………だから……その顔………
そんな綺麗な瞳で見つめないで欲しい………
見つめられるだけで心臓が飛び出しそうになる………！！
……………………なんでこんなに綺麗な顔なの！？
テニス部とは思えないほど 白い肌に 二重の優しそうな目
まつ毛もこんなに長いし……………
………………………やっぱり……かっこいい…………
それに比べて私は……………
『サクラ……… 何を 百面相してるの？』
『……………精市くんが美し過ぎるからいけないの』
『俺？？…………サクラのが可愛いよ？』
そんな嬉し過ぎる言葉を………恥ずかしげもなく言ってしまう彼
ニコッと笑って 私の頬を撫でる
『ほら……こんなに可愛い』
優しく 微笑む 彼の美しい顔がどんどん近づく…………！！
『…………………せ！……精市くん…………！！』
『…………フフ………そうやって すぐ赤くなる所とかね？』
『………！！！……………うぅ…………意地悪………』
『あはは、つい……ね？……………でも どうして急にそんな事 言い出したの？』
余裕たっぷりな様子に………少し ムっとする
ドキドキしてるのは いつも自分だけな気がする………
彼は いつも通り…………私以外の人の前と同じだ……
私は少しむくれながら言った
『……………精市くんがモテるから心配なの……』
『俺は他の女の子に興味なんてないよ』
『………………そう言ってくれるのは嬉しいけど………でも………
周りの人達は違うもん……』
『…………フフ！………もしかして……… さっき教室でジロジロ見られてた事を気にしてるの？？』
『…………………！？』
考えていた事を当てられたコトにも驚いたが
なにより 彼が見られている事に気づいていた…………
その事に戸惑いを隠せなかった
『………知ってたの？？精市くんが迎えに来てくれると痛いくらいの視線を感じるんだよ！？』
『フフ………もちろん分かってるよ？』
『…………………え………？？』
『だって わざと なんだ…………………………』
……………グイッ！
急に引き寄せられて 抱きしめられると
彼の胸の中に閉じ込められる
『………………サクラが俺のモノだって みんなに分からせてるんだ』
…………そう言って強く抱きしめられると
彼から鼓動が伝わってきた……………
『……………………精市くん…………ドキドキしてる………？？』
『俺は………サクラと一緒にいる時はいつもドキドキしているよ』
…………伝わってくる鼓動から
彼からの溢れ出すほどの〝スキ〟の気持ちが流れてきた気がした
私だけじゃない…………
こんな私だけど………………彼も愛してくれているんだ
…………そう感じると 胸がいっぱいになって
私も 強く 彼を抱きしめ返した
『精市くん………………大好き…………』
『俺は………もっと好きだ…………だから心配しないで？？』
『…………うん…………』
抱きしめられて さらに鼓動は早くなるばかり
…………だけど 確かな幸せを感じていた
『ね………サクラ』
『…………………うん？？』
『どうせなら これからは みんなにもっと すごい事 見せつけてやろうか？』
『………………！？』
『フフフ………楽しみだね……………』
……………………………………………………………………
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