処方箋（柳）
処方箋
泣きたい時 辛い時 悲しい時 疲れている時 …………
そんな時は 貴方に会いたい
処方箋
『はぁ…………つまんないなぁ…………』
風邪をこじらせて もう 3日………
いつもは面倒に思う学校も
いざ 行けなくなると恋しくなるものだ……
それも 体調が良くなってきたから
余計に時間が経つのが遅く感じてしまう
『寝てばっかりで退屈…………』
ヒマを持て余して ケータイを手に取りメールを読み返す……
友達から送られてきた 励ましのメール
お母さんからの〝早く帰るからね〟って……いつもより優しいメール
……………この三日間で 随分と色んな人に迷惑をかけた………
メールを読み返すと なんとなく切ない気持ちが込み上げる……
友達……
後輩……先生………色んな人が恋しくなる
なにより………………
『………はぁ………………蓮ニくん………今頃 部活かな………』
…………誰よりも恋しく感じてしまうのは 大好きな彼
いつもより大袈裟なため息をつきながら
彼から今朝、届いたメールを読み返す………
〝無理せず ゆっくり休め こちらの事は気にするな〟
……………彼らしいシンプルすぎるメール
私の体調を気にしてくれてる……と思うけれど………
『気になるよ…………やっぱり会いたいなぁ…………』
一度 〝会いたい〟と考えてしまえば
…………取り返しがつかないほど 寂しい気持ちが込み上げてくる
『……………早く治さなきゃ…………』
病気が治らない限り 彼に会う事も出来ない………
私は 顔まで布団をかぶると無理矢理 目を閉じた
〝明日は学校に行けますように〟
…………………そう願いながら眠りに落ちた……
……………………………………………………………
（ーーーーーーーーー！）
…………遠くでお母さんの声が聞こえた
目は閉じたまま……… なんとなく耳に届いてくる声に安心感を覚える
少しは 眠れたみたいだ……
明日は 学校にも行けそうかな………
まるで……何かに呼ばれたように私は目を覚ました
『…………………すまない………起こしてしまったな』
『………………！？』
ーーーーーーーーガバッ！！
ココに居るはずのない人の声に驚いて
勢いよく起き上がってしまう
『蓮ニくん！？なんでここに！？』
『……見舞いに来たんだ』
『あ…………ありがとう………えっと……アレ？？…………部活は！？』
『案ずるな 今日は休みだ…………
……………部屋に上がるつもりはなかったんだが……お前のお母さんに〝どうしても〟と言われてな』
『そ……そうだったんだ………』
…………………………………お母さん……！！
蓮ニくんには会えて嬉しいけど………
パジャマのまんまだし……
部屋も 食べたお粥の器は置きっぱなし
しかも 寝癖もついてるかも……………！！
私は 混乱しつつ 慌てて 髪を撫で、寝癖を直す………
『フ…………気にするな…………それより まだ 寝ていた方がいい』
慌てた私を見た 彼は
優しく笑って 髪を撫でてくれた
『でも………せっかく来てくれたのに………』
『見舞いに来て また悪くなったら意味ないだろう』
『………………。』
『心配するな……………もう少しここに居るから布団に入れ……ほら』
『………………うん………』
『果物を買ってきた ………あとで目が覚めた後に食べるといい』
『気を使わせちゃってゴメンね…………』
『気にするな…………謝るくらいなら早く治せ……… な？』
『…………うん…………ありがとう蓮ニくん』
『……………その顔が見たかったんだ…………』
『…………え？』
『３日も休むから心配したぞ…………
………………………俺も………お前に薬を貰いに来たんだ』
『薬…………？？………蓮ニくんも風邪なの！？』
『そういう意味じゃない……フッ…………とにかく早く元気になれ』
『？？？』
…………………………………………………………
貴方に会える事が
私の なによりの薬になる
［*前へ］［次へ#］
無料HPエムペ！
携帯モード]
[
URL送信]
