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格闘中(仁王)
格闘中

いつものように朝が来て

いつものように学校に来て

私はいつものように…………………隣のアイツと格闘中


格闘中


『四季、おはようさん   今日も相変わらず可愛いのー』

『そういう仁王は  相変わらずめんどくさいね……』


今日も  隣のアイツは
冷たいのー≠ニ大笑いしている

『……………ジロジロ見ないで………』

『そりゃー  無理な話よお前さんが  可愛いのが悪い』

『それはどーも………でも見ないで』


…………自分で言うのはなんだが私はけっこーモテる……
でも、性格がこんなだから近づく男子には随分と冷たい態度をとってきた


そのおかげで
最近めっきり 告白やラブレターも減ってせいせいしている………



なのに………
隣の席のアイツ………こと…仁王は
私がいくら冷たくあしらっても毎日こんな調子だ………



『今日こそ俺と付き合う気になったじゃろ??』

『……………これまでの会話にそんな要素1つでもあった……??』


いつもそう……飄々としてて本心が見えない

多分、コイツは……
他の女の子とは違う…私のこういう反応が面白くて  遊んでいるだけなんだろう……

そう  思いながらも
ちょっかいを掛けられると  ついつい  なぜか言い返してしまう……

だから、毎日こんな風に格闘しているのだ……




『なぁ、四季………今日の放課後オレとデートせんか?』

『お断りします』

『あっはは!!いつもながら  見事な返しじゃの〜………そうだな…
……………………なら  俺と賭け≠せんか??』

『……………賭け?』

『賭けで俺が勝ったら………仲良く手を繋いで放課後デート』

『………私が勝ったら?』

『俺が四季の命令に1日なんでも従う…………これでどうじゃ?』



…………仁王の言う事に言いくるめられるのはシャクだけど……

これはチャンスだ

………命令できるってことは
話し掛けないで∞関わらないで≠ニも言える!!

勝てば静かな1日を過ごせるかもしれない


『…………乗った。………で………何で勝負するの?』

『テニス』

『そんなの私が負けるに決まってるじゃない!!』

『ハハ、冗談ぜよ……
そうじゃな………さっき聞いた話によると……今日  数学の小テストがあるらしい  ………この小テストで勝負はどうじゃ?』

『テスト!?う〜ん……………』


抜き打ちだから目立った勉強はしてない

……でも数学は得意な方だし……なにより…
いつも授業中に寝てるコイツには負けないだろう……


『ま…………いいよ』

『……………決まりじゃな』

そう言うと仁王は悪い顔で笑った………



……………………………………………………………




…………………キーンコーンカーンコーン……



数学の授業が終わった


…………お互い授業中はテストの点を隠して


休み時間……………いよいよ発表だ



『さーて………お待ちかねの結果発表じゃな』

『悪いけど自信ある』

『ほーう??じゃ、四季から発表してもらおうかの!』

『……………じゃーん!!90点!!
………勝負があるって分かってたら勉強できたんだけど………まぁまぁでしょ』


私は自慢気に小テストをヒラヒラと披露する
…………なかなかの点数だ負けはありえない


『さすが四季じゃの〜……抜き打ちでその点数……惚れ直したぜよ』

『はいはい…………で、そういう仁王は何点だったの?』

『………ほら、これじゃ』


ヒラリと小テストを渡される

どれどれ………………………


………………!?


『96点……!?』

『………………四季とデート………楽しみじゃの〜』


『…………納得いかない!!なんでこんなにいい点数なの!?
仁王いっつも授業中寝てるのに!!』

『俺も本気を出せばこんなもんよ!!
………………ま、数学は得意じゃし………小テストがあるのも知ってたからの』

『………え!?』

ニッと悪く笑って   仁王は続ける

『テニス部の連中に  昨日、抜き打ちがあったと聞いてたからな
……昨日のうちに勉強してきたんじゃ』

『……………騙された……!!だから  そんな提案してきたのね!?』

『ハハハ!!……………俺ペテン師じゃし?あきらめんしゃい』

『〜〜〜〜ッ!!!………分かった……放課後付き合えばいいんでしょ!?』

『そうそう、四季はいい子じゃの』


いつもストレートな物言いだから………
……………………コイツが詐欺師≠ニ言われてる事を忘れてた…


こうして………私たちは
放課後デート≠キる事になってしまった………




……………………………………………………………………………


もう12月の始め……

秋の風から冬の北風に変わって
外は太陽が出ていても 随分 冷え込んでいる……


『………………寒い………』



『寒いなら俺が温めてやろうか??』

『全力で遠慮します………』

『四季ならいつでも大歓迎なんじゃけどなぁ〜』


……………仁王はいつもの調子だ

悔しい………でも約束したことを破るのは性に合わない


『で………デート≠ヘドコ行くの……??』

わざと  おどけて言ってみる

『そうじゃな〜…………何処でも構わないぜよ』
『………じゃあ帰っていい?』
『それはダメじゃ。約束破るのか??』



本当に悔しい………すっかり騙された……

………しかし……なんでこんなに仁王は私に執着するんだろう……
  ……………これも悔しいけど

私より仁王の方がモテるのに………


『じゃ〜………どっかで あったかいココア飲みたい』

『なら喫茶店にでも入るかの』

………本当のデートじゃ無いんだから
ドコに行こうと同じだ……

それなら
この  寒い中を歩くより喫茶店の方がマシだ

…………適当に近くにあったお店に入る


『ふぅ………座って落ち着いたところで………早速  愛の語らいでもせんか?』

『はいはい…………ねぇ…………前から聞きたかったんだけど……』

『なんじゃ??』

『………なんで私なの……??』

『そりゃー  愛してるから仕方ないぜよ』

『真面目に聞いてんの!!………騙すような真似までして………
………………だいたい  こんな寒い日になんで わざわざ……………』


『今日、四季とデートしたかったんじゃ』

『……………だから、……なんで私??』


『…………俺  今日誕生日』



『………そうなの!?…………嘘じゃ無く……??』


『ハハハ………すっかり疑い深くなってしまったの〜
…………でも   これは本当の話。だから四季と一緒にいたかったんじゃ』

『……………!!………じゃあ……一応、おめでとう……』

『一応≠ヘ余分じゃな……
それではペテンにかけてまでデートしてる意味がないじゃろ?』

『……………お誕生日おめでとう……』

『ありがとの………おかげ様で最高の誕生日になった』



そう言って  仁王は嬉しそうに優しく笑った



……………いつも飄々としてるくせに
こんな時に  そんな笑顔………不意打ちだ……!!


………………………不覚にも  カッコいいと思ってしまった……

ドキドキが止まらない…………




『プレゼントは四季がいいの〜』

『う…………うるさい!!調子乗らないで!!』




……………………前言  撤回!!
やっぱりコイツは分からない………


こんな仁王に………
私は明日も明後日も悩まされるんだろう………

でも……
そんな明日を楽しみだと思ってしまった



………………………………………………………………



今日も明日も明後日も

これから毎日…………アイツと格闘中

























☆オマケ☆


『……そういえば、約束は仲良く手を繋いで≠セったハズじゃが??』

『〜〜〜〜〜〜!!』

『ほら、約束じゃろ??』

『………分かったわよ!!繋げばいいんでしょ!?
……………約束だから、仕方なく………なんだからね!?』




(…………このツンデレっぷり………
                         こういう所がやっぱり飽きないのぉ!)




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あきゅろす。
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