[通常モード] [URL送信]
笑ってたいんだ
「終わり、って、何をもって終わりなのかな」
 ジャンゴがふと、ダーインに問う。
「永遠があって、でも、終焉もある。そこにジャンゴは何を思うんだい?」
 永遠、の存在。
 ダーインは自分に照らし合わせて、永遠を考える。人が思うより、永遠は暗くて深い。
「ジャンゴには、終わりを考えるより、目の前をずっと見て、走り続ける方が似合ってるよ」
 ダーインはジャンゴを励ますつもりで言ったが、ジャンゴは浮かない顔をした。
「いや、なんか、その、自分勝手な気がして」
 ジャンゴは頭を掻く。照れているわけではなく、ひどく悩んでいるわけでもない。ただ、気ままに漂う雲を眺めながら、ぼんやりとした表情を見せる。ダーインは過剰な心配をしなかったが、影に潜んでいる真意が何であるのか、知りたくなった。
「どうして、そんなことを聞くの?」
 そう言うと、ジャンゴはダーインの方に向き直る。赤いマフラーをまき直し、呼吸を一つ、入れた。
「僕は、ダーインが生きていれば幸せなんだって、勝手に思っている部分があった。でも、それがダーインにとって、重荷になっているとしたら、僕は」
 そこで、ジャンゴは言葉に詰まる。確かに、ジャンゴとダーインの間にある生命の違いの差は大きい。決して、埋めることは出来ない。だからこそ、ジャンゴが伸ばしてくれた手を取って、歩み寄らねばと決意したのだ。
「ジャンゴが心配することじゃないさ。これは、ボクの問題だから」
 たどたどしい、笑顔をダーインは作る。以前、ジャンゴに『笑顔がちょっと怖い』と指摘されてから、必死に口角を上げる練習をしているが、ジャンゴにはまだ不敵な笑みを浮かべているように見えるのだろうか。
「ごめん、ダーイン」
 項垂れるジャンゴ。そもそも、ダーインの笑顔は見られていなかった。ただ、ダーインはそっと、ジャンゴの手を掴んだ。
「ボクが、決めたことなんだ」
 だから、ジャンゴのせいじゃないよ。顔を上げて。無言で、ダーインは言う。
ジャンゴはダーインの手に目線を動かし、そして、ダーインの顔を見た。
「今日の笑顔は、可愛いね」
 ダーインは、嬉しくなった。
「ボクたちの絆は、終わらない」




end.
――――――
絆は、あると思うよ。


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!