ひだまりの下で(※)
「ダーイン……」
木陰の下、ダーインの肩にもたれ掛かり、ジャンゴは眠っている。すやすやと気持ちよさそうな寝息を立て、しばらくは起こすのを憚られてしまう様子だ。
「……中々、この体勢は辛いね」
ダーインは自分にかかる重心に耐えながらも、心地よい風を感じ、まったりと過ごして居る。太陽の陽射しを一身に浴びた木の葉が、酸素を放出する。
「ダーイン……き」
「ボ、ボクは木じゃないよ。どんな夢を見てるのかな……」
ジャンゴがしきりに寝言を言う。ダーインと名前を呼んでいるが、何故呼ばれているのかは全くもって、想像がつかない。
思わず、ダーインは自分の太腿にかかるジャンゴのマフラーに目をやる。どんなに暖かくなっても、このマフラーはずっと手放さないようで。
そっと触れてみる。隣で、髪を揺らしながら眠っているジャンゴに似た、温もりを感じる。
「このマフラーも、生きているのかな」
真紅の血が流れている。今にも動き出しそうな、温もり。
いけないことだとはわかっていながらも、ダーインは、そのマフラーを自分にも巻く。一瞬、それに首を絞められるような気がしたが、そんなことは決してなかった。
ジャンゴは、まだまだ起きそうにはない。がら空きの頬。紅く染まっている。
「ダーイン……きだよ」
「だから、ボクは木じゃないよ」
気持ちよさそうに眠っている割に、その声はどこか寂しさが宿っている。その手から、細い糸がするりと逃げてしまうような、そんな感覚。
いっそ、起こしてあげたい。
ごめん。
ダーインはジャンゴの頬に、そっと唇を添えた。
「……あれ、寝てた……?」
ジャンゴは目を覚ます。温かな陽射しに思わず、眠ってしまっていた。
起きようとするが、ジャンゴの体の上にはダーインが覆いかぶさっている。ダーインもすっかり眠ってしまっているようだ。
「どうしようかな……起こしちゃ悪いしなあ」
ダーインはジャンゴの胸元に顔を埋めて眠っている。随分と、気持ち良さそうに。木陰がそろそろ陽向に追いやられてしまうので、そろそろ移動した方がいいのではと、ジャンゴは内心焦ったが、起こしてしまうのは少し気が引けた。
「ジャンゴ……」
ダーインもまた、寝言を言う。
「……きだよ」
「僕、木じゃないよ」
ジャンゴは指で頬をなぞった。
好きだよ。ジャンゴはもう一眠りする決心をつけた。
end.
――――――
お昼寝とキス。ジャンゴ様とダーインの場合。
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