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第一話1
 半日も歩いたのに、全く進んでないような気がするのは、この代わり映えのないビルばかりの都会的風景が原因だろう。

 すでに私の疲労はピークに達していた。最早進むために歩いてはなく、休むために進んでいた。
 公園とか広場とか、近くにないだろうか。タンマツがあれば簡単に探せるのだろうが、自室に置いてきてしまった。タンマツさえあれば、現在地も、近くの公園も、どのくらいの距離を歩いてきたのかすぐ確認できただろう。
 だがそもそも確認されないために公共交通機関を避けて徒歩で来たのだ。無い物ねだりしてもどうしようもない。

 しかし半日歩き通した足はもう限界だった。
 仕方ない。通りを外れたところで少し休もう、と目線をさ迷わせれば、都合よく人目につかなそうな狭い路地を発見することができた。ふらふらとその路地に吸い込まれていく。

 今や全財産となった重たいリュックを路地に下ろし、その上に腰掛ける。ようやくの休息だ。もう一歩も動けない。

 隣のビルの影によって、昼間でも暗い路地は今の私には相応しく思えた。もう、光差す通り側に戻ることはないのかもしれない。

 家族の誰も起きることのない午前4時に家を出て、今は昼過ぎくらいだろう。普段タンマツを使っているから、時間すら調べる術を持たない。溜め息を吐いて空を仰ぐ。

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あきゅろす。
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