Present Novel
恋色とレイン
そんな私の視線に
彼が久しぶりにこちらを
向いた。
驚いて私が視線を自分の
スカートに移す。
「朝なのに、外は暗いな」
彼の低音の声に誘われるかのように私は電車の窓を見つめた。
外は
灰色の雲だらけで、水が
空から下へ重力に逆らう
ことなく落下する。
「雨ですからね」
私が呟くと
彼はゆっくり自分のイヤホンを外した。
「雨は好きか」
「んー、雨は、じめじめしていて折角、セットした髪も、うねって上手くいかないし、
特に雨の時は星も、見れなくなるから好きではないな」
「俺は時々優しい雨は心臓のような音がして
温かく感じる時がある。」
ぁあ、
確かにそうかもしれない。
私は窓からゆっくりした雨をみながら
自分の体内の音を
聞いてみた。
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