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Present Novel
電撃トレイン





朝、7時47分の満員電車を
すぎるとゆっくりと、





7時51分に各駅停車が
やってくる。


私は何がなんでもこの電車
に乗って最初から
乗っていた





彼に出会う。



一番車両の一番左の隅っこ
でいつも目蓋を閉じて、





じっと立っている。
漆黒の髪をした、肌の白い
彼。




名前なんか知らない。
ましてや声も聞いたことが
ない。




知っていることと言えば、
いつも音楽をイヤホンで、
聴いていて、



私が電車に乗る時には既に
乗っていて





私が5駅目に降りる時には
まだ彼がいるという事と
51分の電車以外、絶対に、
乗っていないということ。






彼は
どんな瞳をして






どんな音楽を聴き






どんな声で、
喋るのだろう。






私は、ただ彼に会うために
彼の近くにいつも座り、





日が経つ毎に、
君のことを考える。






なぜ、あなたはいつも、
目蓋を閉じているの?






不思議だと思うことばかり
が増えて私は小さな片思い
に胸を苦しめる。





今日も彼は静かに存在して
電車とともに私の前に
現われる。

でも、少し
今日はいつもと違った。










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