Present Novel
白昼夢ですから
そして、
高校3年、卒業になった。
とうとうクッキーをあげようと、決心した。
「田中先生」
「おお、水森どうした?」
先生が笑顔で私の方を振り返る。小さな箱を鞄から取り出す。その箱には金色のリボンがついている。
「先生、これもらってください」
「おっなんだ。
水森がくれるなんて、嬉しいなぁ」
そう言って、先生は私から箱を受け取ると、私の頭を撫でた。
ブオーと風が吹く。
桜の花びらが一斉に舞う。
「先生」
「ん?」
「ずっと先生が好きでした」
空気が、
花びらが、
先生が、
私が、
まるでリモコンの一時停止ボタンを押したかのように止まる。
先生の驚いた顔が、
花が咲いたかのように、
笑顔になる。
END.
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