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Present Novel
白昼夢ですから




「あー、将来は同じ職業の人って決めてるから、このクッキーをあげたら告白しないで、諦めるつもりなのよ。」


と、思わず素直に打ち明けた。クリスは普通にクッキーをモグモグと食べていて、シンは悲しそうな顔でこちらを見た。私は苦笑する。




「あー、別にこの今の恋が成功する可能性も限りなくゼロに近いのよ」



「何で?」


「相手が教師だから」


「キョーシ?」


「先生ってこと。だから、クッキーあげたらすっぱり諦められるわけ。最初っから結ばれるはずなんてないのよ。だから、はい、もうこの話はおしまいっ!」



私が笑顔で立ち上がって、自分の席につくと、シンが隣にやってきて、数学のプリントを奪った。





「じゃあ何で、すっごく美味しいクッキーの作り方なんて頼んだの?」




目が笑っていなかった。さっきまでのシンじゃなくて少し怖くなる。私はポーカーフェイスのまま、左手を出した。少し怒気を含ませながら。




「プリント返して」




「それって、やっぱり諦める前に自分の好きな人に自分を覚えておいてもらおうっていう下心があるからじゃないの?」





「……うるさいわね。クリスがいるんだから、静かにしてよ」


「クリスは寝てる。聞こえてないから大丈夫」





‥‥何が大丈夫なのだろう…私は大丈夫じゃない。ここは夢の中。夢の中まで干渉しないで、どうか、何も言わないで!







「良いでしょう、別に」



少しキツくシンを睨む。



「よくないよ。僕達がのりちゃんの部屋に現れたのは、絶対意味があるんだよ。」




「確信すらない発言に絶対なんてつけないで。私はそんな発言なんていらない」



「のりちゃんが無理だと思ってこの恋を諦めてしまう前に自分の素直な気持ちと向き合うべきなんだよ」



「素直な気持ち…そんなのないわ」




「好きなんでしょ、先生が」



「好きよ。でも困らせたくないの。好きでも諦めなきゃいけない時だってあるの!」




「じゃあ一度だけぶつかって」



「は?」


「諦めても良いから、一度は思いを告げてよ。やってみないとわからない事だってあるんだから」



「意味わからない」




「のりちゃんは、頭良いんだから、わからなくないでしょ?」





絶対、私より年下だと思っていたシンが少し大人びて見える。…本当は私より年齢がいっているのかもしれない。



諭すような声でシンが言うと、私の怒り、感情の乱れも少しばかり収まった。










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あきゅろす。
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