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Present Novel
If×If







「高校生には
ヒミツが多いんです」






「そんなん、初めて聞いた」





「俺も初めて言いました」






「なんだそれ」






山田が『意味わかんねぇ』と呟きながらもクククと笑う。








「あっそうだ文月君」








山田が文月の名前を呼ぶ。





「なんですか」






文月が面倒臭そうに、石鹸を替えている手を止めて山田の方を向く。









「もし好きな人がいたらね、これだけは覚えといた方が良いよ」







「急になんですか」







首を少し傾けながら不思議そうに山田を見る。



山田はスーツの袖を捲ったままブラシを持って文月を見た。





口の端が少し上がる。







「どんな手を使ってでも
幸せにしろ」






「‥‥」






「まぁ、
そんなん当たり前か」






山田が笑ってまたブラシで床を磨き始める。






「‥‥おじさん」






文月が呼び掛けると山田が少し悲しそうな顔をした。そして肩を竦めてみせる。







「ねぇ本当、
その呼び方やめない?



少し悲しいんだけど」







山田が苦笑する。
普通の顔に戻る。






文月はその表情を見て、
さっきのは気のせいであったのかと思う。









…さっき見た時、
少し悪魔でも見てるみたいだった。





否、悪魔に会った事なんかないけど、西洋の本とかの挿し絵でよくあるような、そんな悪魔みたいだった。









「今度もまた、
シフト合いますかね?」






文月が他人にこんなに興味を持ったのは久しぶりだった。









「何、文月君。

俺の事気に入った?」





「少し」







文月は素直に頷いて見せた





山田が一際輝くスマイルを向ける






「うわ、なんかそれ嬉しい」






そして山田が文月に近づいて、大きな白い右手を文月の頭に乗せた。





一言呟きながら…









「どうでしょう?」









END.






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あきゅろす。
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