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過去拍手
A双玉【言い訳】




※学パロ
静蘭⇒先生
燕青⇒生徒




はあと吐く息が微かに白く濁る。
目に見える自分の息を目で追いながら、澄み渡る寒天を仰ぐ。



「冷えてきたな…」



同時に目に入る校舎の時計は6時を指していた。
冬の早朝ならばこのくらいの寒さだろう。
さすがに早く着きすぎたかとコートの前を合わせたところで後ろからふわりと温もりに包まれる。



「おはよ、静蘭」



同時に振ってくる明るい声に少しだけ寒さがはらわれた気がした。
太陽みたいな笑顔を浮かべる生徒、燕青に静蘭はそんな感想を持ったが、顔には出さずに逆に睨みつける。
それでも後ろから抱きつかれている手は払わず、心の中で温かいからだと言い訳してみる。



「先生と呼べ」

「はーい。静蘭先生」



まったく悪びれもせずニヤっと笑う姿は10代の餓鬼とは思えないほどに男らしい。
中世的な静蘭と並んいるためにそれはさらに際立った。



「先生今日いつもより早くねえ?」

「ああ、少し早く着きすぎたと思っていたところだ。」



こんな時間じゃ誰もいない。
もちろん誰かいるような時間なら燕青に抱きつかれたままで話などしないのだが。
自分よりも随分と高い燕青の体温は心地よかった。
無意識の内に燕青に体を傾けてしまう。



「お前は、部活か?」

「いつもならそーなんだけど…」



そう言って気まずそうに笑う燕青。
静蘭はすぐに理由に察しがつきふっと笑った。



「体育館が工事中なのを忘れていたな?」

「そりゃもうすっかり」

「間抜けな奴」



そう言って静蘭はさっさと校舎へ向かった。
いくら燕青が温かいとはいえ寒空の下に変わりはない。
いきなり歩きだした静蘭に燕青は慌てて着いてきた。



「静蘭、」

「だから先生だ」

「いいじゃねえか2人だけなんだし。…どこ行くんだ?」

「図書館を開けてやるからお前は勉強でもしてろ」



図書司書の静蘭は自由に図書館を開放できる。
勉強という言葉にうげっと顔をしかめた燕青だが、図書館で静蘭と2人という環境に魅力を感じたのか黙ってついてきた。
否、けたたましくしゃべりながら着いてきた。




「俺今度の日曜試合なんだけどさ、静蘭なんか予定ある?」

「特にないが、行かないぞ」

「えー、なんで?」

「めんどくさい」

「いいじゃねえか一回くらい観に来いよ、な?」

「一度だけ観に行ってやっただろう」

「静蘭途中で帰ったじゃねえか!あっこからが俺かっこよかったんだぞ?!」



その時の活躍を話しだす燕青。
うるさい。
相槌を打つのも面倒でさっさと図書館の扉の鍵を回す。
入った部屋の先も寒くはあったが、寒風がないだけ少しましだろうか。
そこでようやく静蘭は燕青に振り向いた。



「――そこで相手チームが――」

「燕青」

「―…ん?っ!?」



驚く燕青の顔を捕えながら目を閉じる。
白い吐息が静かに重なった







「少し黙っていろ」
口づけを解いたらそんな言い訳を









END




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