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愛しき殺し屋
小さな密室4



肩を抱き寄せられ背中に手を回されると、真雪の唇に温かな感触が伝わる。

景色に酔い、榊の内緒と言った時の表情に心を奪われ、真雪はその唇を受け止めた。

背の高い榊に、真雪の頭は真上を向いた状態で、榊からの熱いキスに身が蕩けそうになる。


「榊……さ……」

「真雪」


一瞬だけ離された唇は、また寄せられ、柔らかな舌が差し込まれる。

ねっとりと絡みつく舌は、優しく真雪を誘い込む。
どうして良いかわからない真雪は、榊のされるがままに必死についていこうとした。

たどたどしい舌の動きは男性経験がないのを彷彿とさせ、榊は思わず頬を緩ませる。


「真雪、無理はしなくて良いんですよ?」

「……ぁ、榊さ……」


足が揺らぐ真雪は自分の力だけでは立っていられず、榊の支えなしでは座り込んでしまいそうだ。
そんな真雪を見越したのか、榊は真雪の膝裏に手を滑らせ横抱きに抱えた。

熱い吐息を繰り返す真雪は、黙って榊の胸に顔を寄せた。


「……真雪、こんな場所ですいませんね。違う場所でゆっくりと……と言うわけにはならなくなりましたよ」


何の事かわからない真雪は赤くなった顔を榊に向けた。


「無意識なんでしょうが、罪作りですね」


助手席のドアを開け真雪をソッと座らせると、シートをゆっくりと倒した。

身を乗り出し、助手席に横になる真雪に重なる。

ゆっくりとした動作で眼鏡を外すと、榊の目が細められた。

初めて見るレンズ越しではない榊の瞳は、優しさを孕んで真雪を見ている。


「あの……榊さん……」

「こんな時に、お喋りは不要ですよ?」


笑みを見せ、引き寄せ合うように、どちらともなく瞳を閉じ唇を重ねた。

触れるだけのキスは、榊の柔らかな唇の感触を真雪に味合わせる。

時折離されては寄せられ、リップノイズが籠った狭い車内に響く。


榊の胸に当てられていた手をソッと剥し、指を絡めてシートに縫い付けた。
大きな手は真雪の手を覆い、榊の熱が真雪の手から入り込んでくる。


真雪の肩のすぐ上には榊が肘をつき、顔を榊の身体で包み込むような格好になる。

深いキスに真雪は息が苦しくなり、意識が朦朧としてくる。
甘い雰囲気に酔っているのか、榊のキスに酔っているのかわからなく、もう何も考えられなくなってしまう。





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あきゅろす。
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