「身体が熱い……。まさか……」
もう少しで郵便物の処理が終わりそうな時、凛の身体に異変が起こる。
椅子に座っていられないくらい、体中が軋み始める。
「う……あぁ……ッ……」
堪らなくなった凛は足元をふらつかせながらベッドに倒れこんだ。
耳鳴りが始まり心臓が苦しくなると同時に、下半身に熱が集まる。
「どこが……、身体に無害だ……クソッ」
すると部屋をノックする音が聞こえ、どこか遠くで声が聞こえた。
「凛さん。今日の夕食の事で、ちょっと良いですか?」
「……真雪、来るな」
部屋の中から苦しそうな凛の声が聞こえ、真雪は迷わずドアを開けた。
「凛さん、どうしたんですか!?……大丈夫ですか、どこか具合悪いんですか!?」
「……俺に、近寄るな」
凛は薄っすらと汗を掻く額に手を当て拭っていると、真雪が心配そうに凛に駆け寄った。
「凛さん!」
熱でもあるのかと真雪は凛の額に手を伸ばし、ソッと触れる。
「触るな……!!うぁ……くっ」
「触るなって……、一体どうしたんですか?熱は無いみたいですけど、凄い汗が……。でも苦しいんだったらすぐに病院に行きましょう!榊さんに連絡を」
立ち上がり部屋を出ようとする真雪がドアノブに手をかけると、突然後ろから抱きすくめられる。
「え、凛さん!?」
「真雪、すまな……い……」
抱きしめる力は強く、真雪は息が苦しくなり必死に身を捩るが益々力が込められる。
「凛……さ、苦し……」
苦痛に顔を歪める真雪が振り返えれば、顔を赤くしながら息を荒げ、切なそうな表情の凛が眉をしかめている。
色気の孕んだ凛の瞳に真雪は吸い込まれ、身体が硬直した。
その一瞬に凛はドアノブに手を伸ばすと、鍵の掛かる金属音が真雪の耳を掠める。
「凛さん……、ん!?うんん……ぁ……」
僅かに二人の視線が絡まると、吸い寄せるように凛の唇が真雪の唇と重なった。
いつもと違う凛に困惑しながらも、貪るようなキスに真雪は力が抜けてゆく。