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愛しき殺し屋
夜明け4


「ライカくん、昨日はありがとうございました。お香の良い香りで、とても良く眠れました」


真雪は箸を置き、ライカに頭を下げて微笑みかけた。
応えるように、ライカも良かったと笑顔を見せた。

そうして皆の顔をゆっくり見渡しながら、真雪は席を立つ。


「皆さん、昨日は本当にありがとうございました。感謝しても、しきれないくらいです。本当にありがとうございました」


身体を大きく折り曲げ、真雪は皆に自分なりに感謝の意を表した。
自分の我侭を通させてもらい、自分なりに決着がつけれたと嬉しさがあったから。

例え凄惨な状況を目の当たりにしたにしろ、全て自分が望んだ結果。
そう思えば感謝してもしたりないくらいなのだが、自分に出来る事といえば頭を下げ、礼を述べる事しか出来ないでいた。


「真雪ちゃん、もう良いよ、わかったから。元気そうで良かった」

「そうですよ、さぁ顔を上げてください」


榊は真雪の肩に手を置き、顔を窺うように覗き込み頬を緩ませた。


「そうそう、子猫ちゃんは笑ってる方が可愛いから」

「九条に言われなくてもわかるっつーの。な、真雪」


だらしなく笑う慎哉に、和泉は皮肉った笑みを見せる。
それは、自分の方が真雪を知ってると言わんばかりに。

それに気付いた慎哉は零す。


「嫉妬心丸出しの男って格好わりー」

「九条も命知らずだな。うちの嫉妬王子が睨んでるぞ」


皆にコーヒーのおかわりを運びながら、凛は慎哉の耳元で囁く。
視線を感じた慎哉が顔を上げれば、口元を歪ませて妖しく笑うライカが見ている。


「地獄耳も厄介」


怯える慎哉は、凛に隠れていた。





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