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愛しき殺し屋
決戦前のまどろみ



「ついに今日……」


明日が決行日だと聞かされた真雪は、言いようのない気持ちで一睡も出来ず、落ち着かない夜を明かした。
しかし疲れの色は見えず、今日で過去の精算が出来ると言う思いから、心地良い緊張感が真雪を包む。


朝食をとり、早速夜の準備に取り掛かる。

服装は出来るだけ目立たなく、動き易い格好が良いだろう。
そう思いながらクローゼットを開き、思いつめた表情で唇を噛んだ。


「いざとなれば、私だって」


しかしたった今意気込んだ気持ちを潰すように、クローゼットの中を何回見ても、ボトムの類は一枚もなく。
レギンスが数枚あるくらいだ。


「そう言えば、ここでパンツ系の洋服って見た事ない……かも」


仕方なしに、五分丈の袖から黒い大きなレースが伸びた黒いミニ丈のワンピースに、黒のレギンスを合わせることにした。


「スカートだけじゃないから、少しは動き易いものね」


着て行く服を選んだ真雪はクローゼットの片隅に置き、扉を閉じた。

そしていつものように皆で昼食を食べ、いつもと変わらぬ午後を過ごした……ハズだった。

それぞれが自室に戻り、凛と食器の後片付けするつもりでいたのだが、一睡もしてなかった真雪はいつの間にかリビングのソファーに座ったまま眠りについていた。


見ている夢は、大好きだった両親との温かな日々。

今宵行われる復讐劇を、真雪は夢の中で両親に固く誓った。

必ず仇は討つから……と。




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