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愛しき殺し屋
嫌いになりますか?



朝食後、真雪は榊に話があると言われ部屋まで一緒に向かった。


「どうぞ、くつろいでください。そんなに緊張しないで、悪い話をするつもりはありませんから」

「は、はい」


急に話があると言われ内心ビクビクしていたが真雪だが、榊の微笑でその緊張がゆっくりと解れてゆく。


「今日から皆の行動を、観察するんですよね」

「はい、そのつもりです。やっぱり問題ありますか?」

「いいえ、そうではなくて。ただ……」


少し寂しそうに微笑む榊に戸惑い、真雪は見つめることしか出来ないでいた。


「私達の仕事の事、どれだけ理解してくれているか気になりまして」

「殺し屋の事ですか?」

「えぇ」


榊はゆったりとした動作で足を組み替え、穏やかな表情で真雪の言葉に答える。


「……理解はしてないかもしれません。と言うか、よくわからないんです。でも皆さん良い人達ばかりで、なんて言うか……えーと、悪い人とは思えなくて、信じられるとうゆーか……その……」


漠然とした答えしか出せないでしどろもどろになる真雪は、思いつく言葉を並べ悩んでいた。


「いえ、それだけ聞ければ十分です」

「はい?」


悩んでいる途中で十分と言われ、不完全な自分の答えに満足できないでいる真雪は榊からの台詞に驚いた。


「私達の事を信用していてくれているという気持ちは、十分に伝わりましたから」


どこか寂しそうにしていた榊が微笑んでいるのを見て、難しい質問の返答がこんな答えで良かったのかと真雪は胸を撫で下ろす。


「真雪、これだけは知っておいてください。私達の仕事は闇の人間だけが標的なのです。……闇の者が日の当たる者に手を出してはいけない。しかし、その均衡が破られた場合、私達が依頼を受け、闇の者を鎮めに行くのです。悪い事をするからと言って人を殺しても良いとは思いませんが、必要悪と思ってるから私達に罪悪感はありません」


鋭い目つきになる榊に、真雪は真っ直ぐな視線を静かに向ける。


「……罪悪感がなくても、やっぱり私は榊さん達が悪い人だとは思えません」

「こんな話を聞いてもですか?」

「はい、変わりません」


強い意志を見せ、真雪は力強く頷いた。


「良かった。この話をするのを迷っていたんですよ」


先ほどと打って変わって緩んだ表情の榊に、真雪は安堵する。


「なんで……迷ったんですか?」

「こんな話をして、私達が嫌われないかと思いましてね」

「嫌いになるわけないじゃないですか!こんな優しい人達を、こんな私にここまで良くしてくれて……嫌いになれません」

「そうですか。では何があっても、皆を信じてあげてください。お願いします」

「はい」





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