尊に辱めを受け動けない真雪がベッドに横たわっていると、尊は悪びれなく身勝手な言葉を吐き出す。
「言うことさえ聞いていれば可愛がってあげたのに」
「……叔父さんに、言うわ。この事叔父さんに」
ベッドの脇に立ち身を整える尊は真雪を見下ろし、その台詞に全く動揺をみせない。
「あぁ、良いよ、今日親父達帰ってこないし。それにこの事は知ってるから」
「……に知ってるって、何……?」
「今日真雪と繋がって既成事実の一つでもって事をさ、親父達も知ってる」
―――真雪は言葉が出なかった。
叔父達は真雪の身におぞましい出来事が起こるのを知っていて、真雪と尊を一緒に居させた事を。
「だから言っただろう、俺が提案したんだって。全てをね……そう、全て計画通り」
薄く笑う尊は小さく呟き、満足そうにしながら真雪の部屋を出て行った。
真雪の意思など一切構う事なく、己の欲望のために行動を起こした尊。
尊のいなくなった部屋で一人取り残された真雪は、自分の身に降りかかる不幸はいつまで続くのかと悲観する。
それからの真雪は何も考えられず、雨の降る暗闇の中、家を飛び出していた。
尊の居る家に一緒に居たくない、その一心で壊れた心と身体を無理に動かす。
合意でない行為で穢れた身体を持て余し、死に場所を求めて闇の中を彷徨い歩いていた。