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愛しき殺し屋
惨劇2


部屋に入った途端、閉めたはずのドアが開く音が後ろから聞こえる。


「真雪、一緒にご飯食べよ?」


会いたくない人が妖しい笑みを浮かべて、戸口に立っていた。
真雪は突然の事で身体が竦んでしまう。


「尊さん……。私は食べたくないから、お一人でどうぞ」


そう言ってドアを閉じようとすると、力強くこじ開け尊が部屋に入ってきた。


「……尊さん、出て行って下さい。私は一人になりたいんです」

「俺は真雪に用事があってね。ねぇ、なんで俺の事避けるの?」


後ろ手にドアを閉め、尊はゆっくりと真雪に近寄る。


「避けてなんていません」


後ずさりする真雪を追い詰めるように、尊はじりじりと間合いをつめる。
張り詰めた空気の中、真雪の背中に嫌な汗が伝う。


「じゃあ何で逃げるの?」


薄ら笑いを浮かべる尊に恐怖感が増し、真雪は部屋から出ようとドアに向かって走り出した。

しかし尊とすれ違う一瞬、腕をつかまれたと思うと、壁に背中を強く打ち付けられ激痛が走る。
痛みで滲む目の前には、口の端を吊り上げた尊が真雪を見下ろしていた。


「手を……、離してください」


精一杯の虚勢を張ってみるものの、尊は笑いながら同じ質問を繰り返す。


「何で逃げるの?」

「だから逃げてなんて……」

「だって、俺と目も合わそうとしないじゃん。今だって逃げようとしてたし」


最早言い訳を出来るような状況ではなく、真雪はどうして良いかわからなくなっていた。
掴まれてた手に力が込められ、真雪は痛みで眉をしかめた。


「俺真雪の事ずっと好きだったんだよ。気付いてた?」


意外な台詞に真雪は驚きを隠せなくうろたえていると、畳み掛けるように尊は話を続けた。


「気付いてなかったの?かなりショックだな。真雪をこの家で引き取ろうって言ったのも俺の提案、ずっと真雪と一緒にいられるしさ」


尊は不気味な笑みを湛え、舐めるような視線で真雪を眺めている。
嫌悪で粟立つ真雪はその場から動けなく、言葉すら発せなくなっていた。





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