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愛しき殺し屋
話す勇気



「御堂建設には内部密通者、所謂(いわゆる)スパイがいたんですよ。御堂建設と敵対する会社に情報を送るスパイが。敵対していた相手は柳川建設と言います。知っていますか?」

「少し……。母に愚痴をこぼす父を見たのは、それが最初で最後でしたから、名前は聞いた事がある程度ですけど。ずいぶん汚いやり方をしているらしくて、父も手を焼いていたみたいです」

「御堂建設はとてもクリーンな商売をしていたようです。その信用のおかげで、ゆっくりとですが大きな企業になったみたいですね。どの世界にも言えることですが、信用は一朝一夕で得る事は出来ません。真雪のお父さんは誠実な方だったみたいですね。しかし、それを面白く思わない人達がいたのです」

「それが柳川建設……?」

「はい。それと柳川建設のバックには、木嶋組と言う暴力団が絡んでましてね。柳川建設と手を組んでいるようなんですが少々引っかかる事が一つ」


会社内部に両親を死に貶めた(おとしめた)人がいる。

柳川建設、木嶋組……。

誰が?どうして?と言う考えばかりが、真雪の頭の中を駆け巡る。


「真雪の従兄弟、御堂尊を知っていますか?」


榊の台詞に真雪の肩が大きく揺れ、一気に顔が青褪めた。


「どうしました真雪」

「あ、あの……その人が……何か?」

「その方が柳川建設とコンタクトをとっていたらしいのです」

「た……尊さんが!?」


小刻みに震え出した真雪の大きな瞳から、止め処なく涙が流れ出る。


「――っうっ……うっ」

「どうしたんですか……何か、あったようですね」

「私……尊さんに……無理矢理。それに……パパまで、裏切っていたなんて」


震える真雪は涙で濡れる頬を厭わず、事の顛末を話始めた。


「以前……榊さんに話しましたよね。両親の事とか」

「……えぇ、聞きました」

「私は……叔父に引き取られたんです。父の弟の家に。その……尊さんの家で、榊さんと初めて出会ったあの日に尊さんが私の部屋に……来て……」


榊は俯き震える真雪の隣に座り、ソッと肩を抱いた。


「辛い事を無理に話さなくても良いんですよ」


俯きかぶりを振る真雪はゆっくり顔を上げ、涙を拭いながら榊の目を見る。


「……全部……話させて下さい、気になることも言ってましたし……。私は大丈夫……、話せます」


真雪は決意を秘めた強い瞳で榊を見上げた。




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