「はいそこまで」 ライカの首根っこを掴み、和泉は真雪から引き剥がした。 「……ふぅ、苦しかった。あ、ありがとうございます。和泉くんいつの間に?」 「おう、俺様も一緒に案内してやろうかと思ってな」 息苦しさから解放され真雪が息を整えていると、和泉は見下ろして高圧的な笑みを見せた。 「はぁ、ありがとうございます」 「別に来なくても良いのにー」 「ライカと真雪を二人っきりにしたら、危ねぇからな」 顔を曇らせるライカに対し、和泉は高慢な態度でいる。 「あの……ライカくんも和泉くんも、足音や気配無く近づいてくるのはなぜですか?いつもいつもいきなりで、私の心臓が持ちそうもないんですけど」 真雪の発言に二人は顔を見合わせ驚いた様子でいると、急に大きな声で笑い始めた。 「気にしてなかったな」 「ごめんね、癖でさ〜」 和泉は腕を組みながら笑い、ライカはくったくなく笑って真雪を見つめた。 「仕事での癖だから慣れて頂戴ね」 「仕事って……殺し屋さん?」 「まぁ詳しい話は追々してやっから……まずは、部屋案内してやる」 話を逸らされた真雪の右にはライカ、左には和泉が陣取り、傍から見れば美形の男に囲まれているこの状況は両手に花なのだろうが、真雪からしてみれば囚われの宇宙人の如く。 引きずられるように、先ほど降りてきた螺旋階段を上らされていた。 「あ、あの地下室見てみたかったんだけど」 「んー、地下は最後にしようよ。まずは僕の部屋からね〜」 「じゃあ次は、俺様の部屋を案内してやる」 「はぁ」 広い廊下の片側は大きな窓で、そこからは中庭が良く見える。 その反対側にはドアが均等に並び、長い廊下が続く。 「ここが真雪ちゃんの部屋でしょ、んでー隣が僕の部屋〜」 ライカは自室のドアを開け、真雪を通した。 |