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愛しき殺し屋
和泉と風邪2



「そろそろお昼ご飯ですし、何か食べてからの方が良いですね。食欲、ありますか?」

「肉食いたい」


真雪は一瞬キョトンとした顔をして、すぐさま困った表情をし始めた。


「食欲あるのは良いですけど、消化の良い物をリクエストしてくださいよ。おじやでも作って来ますね。……っとその前に、体温計そろそろですよね」


真雪はベッドの端に腰を下ろし、体温計の電子音を待つ。
静かな室内に小さく計測終了の音が鳴った。


「じゃあ見せてください」

「やだ」


真雪から出された手を無視し、和泉は布団を深く被った。

一瞬呆気に取られた真雪はベッドから降り、和泉の頭元へと移動した。


「うわぁ!真雪、俺、病人だって」

「だったら素直に言う事聞いてください!体温計、出してください!」


再度布団を剥ぎ取り、和泉は渋々体温計を取り出そうとするが、思い立ったように真雪から布団を奪い取って包まった。


「ちょっと和泉くん!」


力任せに布団を剥ごうとする真雪だが、力で敵う訳もなく。
布団から顔を出し、和泉は不敵な笑みを浮かべた。


「じゃあ、さっきみたいに無理矢理取れよ」

「ど、どうしてですか!?そんなに私を困らせたいんですか?」

「そう」


相変わらず笑ったままの和泉の顔は、熱のせいか少し汗を掻き赤みを帯びた顔をしている。

弱りながらも、無駄に垂れ流された色気に誘惑されそうで。

いくら色恋に鈍い真雪でも、クラクラしそうになる。

しかし、そんな事ではいけないと、自分を奮い立たせた。

試すような視線を向けたままの和泉に業を煮やした真雪は、布団を掴む手に力を込めた。


「……和泉くんがその気なら、私にも考えがあります」

「はぁ?考え?」


そう言って真雪は、和泉の言葉を最後まで聞く事無く、サッと部屋から出て行った。





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あきゅろす。
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