その後。
「――それは大変でしたよ」
「私……何をしたのか、言ったのか……全然覚えていない。ごめんセンリ」
私にしがみつき、謝る美咲。
振り回されっぱなしの私は、たまには美咲を振り回すのも良いかと思い、悪戯心を持ち出した。
「美咲は私に“キスして”、“愛してる”、“センリがいなかったら死んじゃう”なんて言ってましたよ」
最後の台詞は私の創作ですが。
そうだったら良いなと、願望を込めて。
ついつい、にやける口元を手で隠しながら美咲の様子を窺う。
「やだ、恥かしい。心の中の事全部喋っちゃったの?」
美咲は真っ赤な顔をしながら、その顔を隠すように掌で押さえてしゃがみ込んだ。
その言葉と態度に、私は呆然と立ち尽くしてしまった。
美咲の言葉が、私の言った渇望を現実のモノにしてくれたから。
「別に良いじゃないですか。私だって、美咲がいなくなったら死んでしまいます」
「……センリも?」
「はい、美咲と私の気持ちは一緒です」
抱き寄せて額を合わせれば、紅潮させた美咲は微笑む。
高鳴る衝動を押さえ込み、美咲の髪に顔を埋める。
愛しさが、こみ上げる。
何重にも張り巡らせた籠の中。
貴女は不満を漏らさず、居てくれる。
貴女を独占したいと想う、私の我儘を許してくれますか?
悠久の時を共に刻み続ける、私の大事な光。
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