[携帯モード] [URL送信]

道化の国
センリの苦悩2


横を見れば、ほんのり紅みを帯びた顔の美咲がグラスを空けている。


「美咲、もう一杯飲みますか?」

「のみゅー」

「…………」


……のみゅ?


身体を私に向きなおし、グラスを私に差し出す美咲は、目が据わっていた。


「美咲、酔ってますね?」

「酔ってにゃーい」


に……二の句がつげません。


「……これでお終いにしましょう」

「やっ!」


――困りました。

飲んで倒れるような下戸も困りますが、虎も困ります。
まさか美咲がこのようになるとは。

淡い期待を持っていなかった……とは、言えません。
酔って肌を火照らせる美咲と……。

――私の考えは浅はかだったようです。
しかし此処がフィールドで良かった。
心からそう思います。


「美咲、もう寝ましょう。さぁ、行きますよ」

「やだ!まだのみゅの〜!」


ワイングラス片手に粘る美咲を見て、仕方ないとばかりに美咲を抱きかかえ、ベッドルームへ運んだ。


えぇ、それはもう。
暴れる美咲を、何とか宥めながら。


ベッドに下ろすと、美咲の瞳が潤んでいて私を見つめていた。
私の首に絡めていた腕が、強く引き寄せる。


「センリ、大好きー」

「美咲、相当酔ってますね」

「センリは私の事好きー?」

「好きと言うより、愛しています。心から」


普段はこんな事聞いたりしないのですが、こんな美咲も堪らなく愛しく感じてしまう。







[*前へ][次へ#]

7/48ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!