横を見れば、ほんのり紅みを帯びた顔の美咲がグラスを空けている。 「美咲、もう一杯飲みますか?」 「のみゅー」 「…………」 ……のみゅ? 身体を私に向きなおし、グラスを私に差し出す美咲は、目が据わっていた。 「美咲、酔ってますね?」 「酔ってにゃーい」 に……二の句がつげません。 「……これでお終いにしましょう」 「やっ!」 ――困りました。 飲んで倒れるような下戸も困りますが、虎も困ります。 まさか美咲がこのようになるとは。 淡い期待を持っていなかった……とは、言えません。 酔って肌を火照らせる美咲と……。 ――私の考えは浅はかだったようです。 しかし此処がフィールドで良かった。 心からそう思います。 「美咲、もう寝ましょう。さぁ、行きますよ」 「やだ!まだのみゅの〜!」 ワイングラス片手に粘る美咲を見て、仕方ないとばかりに美咲を抱きかかえ、ベッドルームへ運んだ。 えぇ、それはもう。 暴れる美咲を、何とか宥めながら。 ベッドに下ろすと、美咲の瞳が潤んでいて私を見つめていた。 私の首に絡めていた腕が、強く引き寄せる。 「センリ、大好きー」 「美咲、相当酔ってますね」 「センリは私の事好きー?」 「好きと言うより、愛しています。心から」 普段はこんな事聞いたりしないのですが、こんな美咲も堪らなく愛しく感じてしまう。 |