センリのフィールドから街にに出た美咲とマリカ。 マリカは美咲に気付かれないよう、天に投げキッスをして小さく呟いた。 「私達を遠巻きに護衛してちょうだい」 久しぶりの街を楽しそうに歩く美咲を見つつ、マリカは遠くで切り裂かれた空間を見つける。 騎士の一人だと確認し頷くと美咲に視線を移した。 「さ、美咲。ユーマを呼び出すわよ」 「え、もう?もう少し街を見て回らない?」 「センリが心配するわ、今度センリに連れて来てもらいなさいな」 美咲の表情が少し悲しげになっていく。 訝しげにマリカは美咲を見やり、どうしたのと聞いた。 「リアン達の事があってから、センリは前より心配性になっちゃって。マリカについて行くって言った時も、困った顔していたし……」 あの時のセンリを見られていたのかと、マリカは大きくため息をついた。 「美咲は大切なセンリの希望の光なの、心配するのは当たり前なのよ。たった一人しか居ない、唯一無二の大事な光。大事に思うのは当然の事なの」 「う……ん。センリにもそれは言われた」 俯く美咲の肩を抱き、マリカは尚も続けた。 「美咲の思うことは全て叶えてあげたいけど、危険に晒したくもないのよ。でも……勝手に心配させておきなさいよ。振り回されるセンリって滅多に見れるもんじゃないわ」 美咲の顔に近付け、ニンマリと笑うマリカは本当に楽しそうだ。 それにつられ、美咲も笑みを零してしまう。 「けど私の側にいて何かあったら、私がセンリに殺されちゃうわ。だから今だけは私の言う事を聞くのよ?」 「うん……」 「私だって女なのよ。か弱いから、美咲を守ってやる自信がないのよ」 遠巻きに様子を窺っていた騎士の一人が、マリカの台詞に思わず吹き出していた。 |