マリカはセンリからもらった、銀色に輝く指輪を美咲に見せた。 「これがマスターキーリングよ」 「へえ、これがあればマリカもここに自由に出入り出来るんだ?」 しげしげとマリカの指輪を見る美咲。 「条件付きですけどね。私の方でマスターキーリングの使用を許可している時ではないと、フィールドには入って来れません」 「これでマリカにいっぱい会う事が出来て、ちょっと嬉しい」 「私も嬉しいわ、ちょくちょく遊びにくるわね」 「本来ならば常に制限をかけていたい所なのですが……」 マリカと美咲は顔を見合わせ、満面の笑みでいる。 それをセンリは少しばかり恨めしい気持ちでいながら小声で本音を零すが、二人には聞こえている様子がない。 「ところで、今日はユーマは来ないの?」 マスカーレイドもついて来るならユーマも来ているのではないかと、不思議に思う美咲は不意にセンリに顔を向けた。 「ユーマも居た方が良かったのですか?」 「せっかく皆で集まってるんだし、ユーマばかり居ないのは何だか寂しい気がするの」 肩を落とす美咲は本当に残念そうで、センリの顔が少し曇る。 「美咲は優しいですね。……私には残酷ですが」 その呟きは美咲には届かず、マリカやマスカーレイドと談笑している。 自分以外を求める美咲が心を惑わす小悪魔に見えてくる。 嫉妬するとわかってやっているわけではないので、センリはそれが歯痒くて堪らない。 「じゃあユーマも連れて来ようか?」 美咲に笑いかけるマリカは、チラリとセンリに視線を向ける。 ニコニコとしている美咲を見てしまったセンリは、小さく頷くしか出来ないでいた。 センリの了承を得たと思いマリカが席を立つと、美咲がマリカの服を引っ張った。 「私も一緒に行って良い?」 「え……と……」 マリカが横目で見れば嫌そうな顔をするセンリが、仕方ないとばかりにため息をついて顔をしかめていた。 「美咲、それではプレゼントした、あの靴を履いて行ってはいかがですか?」 「あっ、そうだね。じゃあマリカ待っててね」 軽やかにワンピースの裾を翻し、美咲はリビングを後にした。 |