センリが用意した服に手早く着替え、マリカが居るリビングへと足を早める。 勢いよく扉を開き、ソファに座るマリカを満面の笑みで迎い入れた。 「マリカ、いらっしゃい!」 飛び付くのではないかと思うくらいの勢いで、マリカに近付く。 マリカは両手を広げて、胸に飛び込んで来た美咲を受け入れると頭を優しく撫でた。 「遊びに来たわよ。やっぱり可愛いわね美咲」 マリカに抱き締められ、嬉しそうにしている美咲を、センリは少し複雑な気持ちで見ていた。 しかしまだ美咲をこのフィールドから出したくないセンリは、少しでも気晴しになればと今すぐ二人を引き剥がしたい気持ちを押さえた。 「さぁ、お茶が入りましたよ。美咲手伝ってください」 しかし、本心は隠しきれず。 「うん」 マリカから身体を離しセンリのもとへ向う美咲は、とても楽しそうで。お茶をセンリが運び、美咲が後ろから焼き菓子を持ってついて来て、それらをテーブルに置く。 「ねぇ、さっきマスカーレイドはマリカに連れて来てもらったって言ってたけど……。センリに連れて来てもらったんじゃないの?」 お茶を置くセンリの脇で美咲は疑問を投げかける。 「まんま、その通り。マリカに連れて来てもらったんだって。センリじゃないよ」 口元を緩ませ、出されたお茶を一口飲みながら答える。美咲はわけがわからず、センリに不思議そうな顔を向けた。 センリのフィールドへはセンリと美咲にしか出入り出来ないはずだから、美咲が不思議がるのも無理はない。 それを察知したセンリは美咲の腰を抱くと、ソファに腰を下ろした。 「マリカには私のフィールドへ自由に行き来出来るように、マスターキーリングを渡したんですよ。ですから、マスカーレイドはマリカに寄生虫のようについて来たから、此処にいるのです」 「随分刺のある言い方するじゃん」 口をへの字に曲げ、ヘソを曲げるマスカーレイドにセンリは言う。 「本当の事を言って、何が悪いのですか?」 マスカーレイドが不貞腐れているのを素知らぬ振りをして、センリはしれっとしていた。 |