道化の国
寝起きの悪戯2
「美咲、眠いならベッドでお休みなさい」
机の前で手紙を読むセンリは、ソファーでコクリコクリと舟をこぐ美咲に優しく言った。
「う、ん……」
すでに意識が閉じかけていた美咲は、ノロノロとソファーから腰を上げベッドルームへ向う。
笑みを漏らすセンリは、そんな美咲の背を見送った。
美咲はベッドに入ると、真っ白なシーツに吸い込まれるように深い眠りについた。
センリは今まで溜めてしまっていた書類整理などを、美咲が眠ってるうちにと手を早めた。
「これが終わったら、お礼に伺いますよ」
美咲にどの様なお礼をしてやろうかと、それを考えているだけで、センリの顔は緩んでしまう。
楽しみが待っていると思えば、センリの仕事の手はいつも以上に進み、煩わしい書類整理も全く苦ではなかった。
一通り溜まっていた仕事が終わり、着ていたタキシードを脱いで椅子に掛け、美咲の待つベッドルームへ。
静かに眠り、軽く寝返りを打つ美咲が、センリは愛おしく思え顔が綻ぶ。
起こさぬ様ベッドにゆっくり近付き、美咲の頭元でしゃがみこんだ。
「私よりも貴女の睫毛の方が、とても綺麗ですよ」
長く、くるりと上を向く睫毛に優しく触れ、美咲がした仕草を繰り返す。
「この髪だって、美咲の方が気持ち良いですよ」
ソッと一房を持ち上げ、センリは髪の香りを楽しむ。
「私としては、この様にしてもらっても良かったんですが……」
センリの手は美咲の胸元へ向かい、ボタンを一つ……二つ……と外してゆく。
徐々に露になる美咲の白い肌に、センリは吸い込まれていきそうで。
思わず唇を寄せてしまう。
真っ白な肌に、紅く咲かせた花はとても美しく。
美咲をより官能的に魅せる。
「愛して止まない私の気持ちを、どうしたら伝えられるんでしょうね」
これ以上側に居ては自分を止められず、美咲を起こしてしまうと思ったセンリは、大きく息を吸ってから立ち上がった。
「本当は、もう少し遊びたかったのですが……」
残念そうに美咲の寝顔を眺め、静かにベッドルームを後にした。
その後、目覚めた美咲は、肌蹴た胸元を見て驚く。
紅く印された痕を触り、センリに問いかける。
「センリ……いつの間に……」
「さぁ……、いつでしょう?」
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