[携帯モード] [URL送信]

道化の国
独占欲



「マリカの連絡手段はわかったけど、マスーレイドやユーマのもあるの?」


本棚の前で何か探していたセンリは眉をひそめ、美咲を見る。


「ありますが……なぜです?」

「どんなのかなって思って」


センリは持っていた本を机に置き、美咲の座るソファーに腰を下ろした。


「見るくらいなら良いですけど、美咲……まさか欲しいなんて言いませんよね?」

「あ、うん。欲しいとは思わないけど、どうして?」

「マスカーレイドやユーマは貴女に会いたがっていましたからね、美咲の方から連絡があれば、喜び勇んで来ますよ。それこそ飼い犬のように」


なぜか棘のある言い方のセンリに、笑うに笑えないでいる美咲。


「マスカーレイドのはこれです」


小さなファイルを取り出し、開けてみせる。
そこには小さく真っ白な羽が、少々の空気の揺らぎに流されながら綺麗に並んでいた。


「凄い……フワフワして綺麗。これがマスカーレイドの?」

「これを一つ取り掌に乗せ、フッと飛ばしてやるんです。その時に頭の中でマスカーレイドを呼べば来ます」


ワクワクしてきた美咲は、ユーマのも知りたいとセンリにねだる。


「まさかこんな物で、おねだりされるとは……」


美咲から滅多にないおねだりが、自分以外の事で面白くないセンリは、マスカーレイドとユーマが憎らしく感じていた。


羽の並んだファイルを、無邪気に見つめる美咲は何も知らず。


「美咲は、私をストレスで殺せますね」

「え?何か言った?」


フワフワの羽に夢中な美咲の耳には、センリの言葉は届かず。
しかし楽しそうに羽を突っつく美咲が、可愛らしくもあり微笑を零す。


「なんでもありません」



本当に……貴女の一言一言で私は、天にも地にも行ってしまう。

美咲は知らないでしょうけど。

どうしたら、私だけを見ていてくれるんでしょうね。

ね、美咲。


[*前へ][次へ#]

9/45ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!