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道化の国
絡まる絆、解ける糸3


「センリ」


渋るマリカを引き連れ、マスカーレイド達はセンリのフィールドへと赴いた。
突如として沸き起こったマリカの変化に戸惑っているのではないかと、センリの心情を察したマスカーレイドが心配しての事。


「騒がしいですね、一体何事ですか?姿を見せないと思えば大勢で押し寄せて」


ベッドの脇に置かれた椅子に腰を下ろし、横たわる美咲に顔を向けたまま横目でマスカーレイドを一瞥した。


「……いや…、別に。美咲元気かなーって思って」

「特別、何も変わりないですよ」


冷めた表情で言い捨てるセンリは視線を美咲に戻し、押し黙ってしまう。
そんなセンリを見て指をさし暴言を吐こうかとするユーマをマスカーレイドは肘で小突き、乾いた笑い声を上げた。

払拭しきれない不信感を持つマリカはそんな二人の影に隠れるようにして、心配そうに美咲を見つめる。
しかしセンリの態度に強い嫌悪を隠せず、不信感を心に押さえ込んで苦しむ胸を掻き毟った。


「でも……心配をかけました。ただでさえ美咲の事で迷惑をかけているのに……」


しかし続くセンリの一言が、マリカの心を揺らがせた。
憂いを帯びた瞳が頼りなげに細められ、作られた笑顔を見せるセンリに不快な気持ちは薄らぐ。


「……知ってる、私…。センリのその顔…知ってる。強がってる顔…、心配かけたくなくて無理に笑った顔……」

「お、おい。大丈夫かよ」


後方で呟くマリカは膝から崩れ落ちそうになるが、咄嗟の所でユーマに身体を抱えられる。
今にも泣き出しそうなほど悲痛な表情でマリカは呟きながら、その顔を手で隠した。


「悪かったわね…、センリを疑うなんてどうかしてたわ……」

「誤解が解けたなら良かったよ。ほらセンリ、わけわからない顔してないで」


内情をよく知らないでいたセンリがマリカを茫然と見つめていると、マスカーレイドが背中を叩いた。
しかしマリカのバツの悪そうな様子を察し、気落ちしたマリカに歩み寄った。


「……マリカの前に、姿を見せても良いのですか?」

「えぇ」

「声をかけても良いのですか?」

「…えぇ」

「またマスターキーリングを貰っていただけますか?」


センリは穏やかな声でマリカの前に手を差し出した。
掌には銀色に光る指輪があり、マリカはそれに目をやった。


「美咲が帰って来た時、マリカがマスターキーリングを持っていないと私が怒られそうですからね」

「……貰うわ」


いつもと変わらないセンリに言われる嫌味を苦笑いで受け止め、マリカはユーマから離れ指輪を手に収めた。

二人のやり取りを胸を撫で下ろしながら見つめ、マスカーレイドは安堵の息を吐く。


「さてと、これで一つの問題は片付いたっと。後は……」





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