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道化の国
地獄の使者4


「貴方が死にでもして、ユリアが残されては可哀想だと思いまして。」

「俺・・・、簡単に死ぬほど弱くない・・と思うんだけど。」

「うっかり・・と言うこともあります。」


緊迫した雰囲気の中、センリとマスカーレイドはそれを全く気にもせず話をしている。

自分達の存在をまるで気にならない様な態度を取っている二人に堪らなくなった男達は、その会話に口を挟んだ。


「俺等の事は無視か?」

「お前等こんな事をしてただで済むと思ってんじゃねーだろうな・・。」


口々に脅しとも取れる低い声を出し、荒ぶる声を上げる。
腰にぶら下げられたスティレットを抜くと、怒りの形相でそれを目の前に翳す。


「あれは刺されたらたまんないなー。」

「刺突するために作られた短剣ですから、痛いでしょうね。」

「痛いだけじゃないでしょ。・・にしても、三人でスティレットって芸がないね、それともわざとお揃いにでもしたのかな。」


怯む事のないセンリ達はスティレットの感想を口にする。
しかしそれは男達の怒りを煽るもので、奇声を上げ一人の男がスティレットを脇に引き寄せ一気に間合いを詰めにかかった。


「では私は女性の方々の口止めに回りますから、貴方はあの方々を頼みますよ。」

「言われなくても。」


怒りに任せた男の動きは鈍く、センリ達は軽くかわすと散り散りになった。


「こっちも本気で行かせてもらうよ。ランス、セザール、シャルル。」

「な・・、なぜ俺達の名前を・・。」


マスカーレイドが発した言葉に、男達は怪訝な顔をする。
自分達はさほど目立つ存在ではないと知っているからこそ、目の前のマスカーレイドに不信感を抱く。


「なぜって?簡単だよ。」


体勢を整え、マスカーレイドは視線を男達に向けながら懐からまたカードケースを取り、一枚抜き取った。


「調べたからね、君達の事。」


カードを弄ぶように宙で回転させ、瞳はカードを追っている。


「・・ユリアを穢した馬鹿な奴等を探してたんだけど・・、そっちから出向いてくれてありがたいよ。」


弾くようにしていたカードを掴み、その動きを止めた。



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あきゅろす。
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