道化の国
ご主人様
「美咲」
「どうしたの?すごく楽しそうだけど」
「これですよ」
センリはとびきりの笑顔で、手に持ってた大きな箱を見せた。
「これは?」
「美咲にプレゼントです」
大好きな人からプレゼントと聞いて、嫌がる女の子はいないであろう。
例に漏れず美咲の表情は花が咲いたように一層華やかになり、プレゼントを置いた前に座って箱とセンリを交互に眺めた。
「開けて見て良い?」
「どうぞ」
センリの返事を聞き、美咲は包装紙を綺麗に剥ぎ箱を開ける。
「…これ……」
「さぁ、美咲お着替えの時間ですよ」
「………」
僅かばかりの白色が見え、たくさんの黒い布地で埋め尽くされている箱。
美咲はそれを引っ張り上げると、フリルやレースで縁取られた黒いメイド服一式が入っていた。
今にも鼻歌が聞こえそうなぐらいご機嫌なセンリとは正反対に、驚きで声が出せない美咲。
瞬く間に服を脱がされ、黒い膝上のミニワンピースを着せられる。
胸の部分は白い生地のシャーリング、胸を強調させるような形になっている。
足元は黒のニーハイソックスに、先が丸みがかった黒のヒール。
そしてレースで縁取られた白い小さなエプロンに、白いレースのカチューシャを付ける。
美咲に対し一通りの支度を施したセンリは、満足そうに見つめている。
「やっぱり似合いますね」
「センリの……趣味?」
「違いますよ、美咲に似合うと思ったからプレゼントしたまでです」
満面の笑みで可愛い可愛いと頭を撫でるセンリに、これ以上何も言えず、美咲はこのような格好をしている事に気恥ずかしくなり、段々俯いていった。
「どうしました?美咲は嫌いですか?」
「センリが…喜んでくれるなら……別に。…ただ恥ずかしいだけで……」
しどろもどろに答える美咲の頬にキスを落とす。
「とても喜んでいます、ありがとうございます美咲。ついでと言っては何ですが」
「…何?」
「このまま脱がしても良いですか?」
今着たばかりで脱がすとは?と考えていると。
「わからないなら、それでも良いです。ゆっくり教えてあげます。さぁ、こちらに…」
ベッドに腰を下ろすセンリは悪戯を楽しむ少年のよう。
そして美咲の耳元で囁く。
「これから美咲を食べちゃうのですよ」
優しい微笑みを湛える貴方は私のご主人様。
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