道化の国
濃紺の天鵞絨2
「美咲は本当に優しいですね・・。優しすぎて・・、嫉妬してしまうくらい・・。」
「そんな・・、ああッ、・・や・・だ・・、アッ、あん・・!」
首筋に舌を這わせ、それが耳に到達すれば熱い息が囁きにすり替わる。
服の下に手を滑り込ませ、優しい手つきで胸に触れて美咲の反応を窺う。
小波立つ快楽に酔う美咲は、センリの胸を押す手から力が抜け落ちる。
センリはソファに投げ出されようとする美咲の手を掴み、手首にそっと唇を寄せた。
「マスカーレイド達の事は忘れて、今は私の事だけを考えてくださいね。」
唇で食まれ、美咲は手首から電流が走ったように身を震わせた。
微弱な痺れは手首から掌へと移り、胸を弄ぶ指先は突起を固くさせてゆく。
「もっと・・、私で一杯になるくらいに・・。」
細い小指を口に含み舌を出して見せ付けるように舐めれば、美咲はセンリの美しい毒に当てられる。
瞳を潤ませ恍惚とした表情をする美咲にセンリは妖しい笑みを見せ、口元が緩やかな弧を描いた。
肌蹴た腹部に唇を寄せ美咲の服を瞬時に脱がしにかかる。
脱がした服をソファの背もたれに引っ掛け、センリもシャツのボタンに手をかけた。
「センリ・・、此処で・・?」
「たまには良いのではないですか?場所が変われば、また違う楽しさもあるかもしれませんよ。」
露になるセンリの引き締まった肉体は彫刻の様にしなやかな線を描いていて、張りのある肌はキメ細やかで女の肌にも劣る事はないほどだ。
笑みを湛える愛しい人に吸い込まれるように、センリの胸に手を当てた。
熱く流れる血潮は大きな鼓動となって美咲の手に伝わる。
「私もいつもと違う場所で、とても緊張しているのですよ?・・これでも・・・。」
言葉とは裏腹に余裕を抱えた表情のセンリは、目を細めて口角を上げた。
美咲にしてみたらとてもその様には見えず、眉をしかめて怪訝な顔をした。
「おや、心外ですね。私が嘘をついているとでも言うのですか?」
「そんな事はないけど・・、私ばっかり・・、ドキドキしてて、センリみたいに余裕のある顔出来ない・・。」
背もたれに目線を向け、もじもじと答える美咲にセンリは顔を寄せた。
「表情に出さない様にする事はいくらでも出来ます・・。しかし心までは無理です、殊に美咲の事に関して私はまだまだ未熟です。」
指先で美咲の顎を自分に向け、視線を合わせる。
「私の心を揺るがす事が出来るのは、美咲・・・、貴女ただ一人です。」
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