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道化の国
動く歯車1


暗褐色の街並みに溶けて消えてしまいそうで、今にも崩れ落ちそうな様子の女が薄暗い通りを歩いている。

何処でどう過ごしていたのだろうか、靴は履いておらず足元は薄汚れていて肌のあちこちに擦り傷を負っている。
服は切り裂かれたぼろを纏い、女の身の上に何かが有った事は一目瞭然だった。

胸まで垂らされた長い髪は深い緑色で、エメラルドの瞳は疲れからなのか、力なく今にも閉じてしまいそうになっている。

その後ろには獲物を見付け、それを狩る機会を伺う男がジリジリとにじり寄る。

女は建物の壁に手をつき、身体をもたれその場にしゃがみ込んでしまった。
付け狙っていた男は好機とばかりに女の背後から手を伸ばし、傷だらけの身体を捕まえた。


「こりゃ良い物拾ったな。」


卑しい笑い声を上げ、男は女を抱え建物の間を縫う様に歩いて行く。

女は幾度となく凌辱を受けていて、心身共に疲れ切っていた。
此処に迷い込んで来てからと言うもの、たくさんの男に追いかけられ掴まれば犯され、散々たるものだった。
最初の頃こそ抵抗はしていたものの、繰り返される蹂躙に女の感情は次第になくなってしまっていた。

何の反応を示さない女に、男は口角を上げる。


「なんだ、案外お前も乗り気なのか?」


表情のない女から醸し出される魅惑的な色香に喉を鳴し、我慢出来なくなった男は女を路地にある木箱の上に降ろした。

着ていると言うより、羽織っていると言った具合の服を脱がすと幾つもの鬱血した痕が見える。


「犯され過ぎて声も出ないか、こりゃちょうど良い・・。・・・・お前・・・・この国の女じゃないな・・・。」


抱きなれた今までの女と比べ不思議な心地良さを感じた男は、二つの膨らみを強く揉むと顔を埋め温もりを味わう。

女は空虚な瞳で暗褐色の建物を眺め、男にされるがまま声を発することなく静かに涙を零した。


「はぁ〜、まずいまずい。久しぶりに楽しめるかと思えば・・・、しつこい女は嫌いだよ・・・・ん?お取り込み中?」


女を見極める眼力が衰えてしまったのか、しつこく言い寄ってきた女から逃げてきたマスカーレイドは焦りと苛立ちを抱え、最中の男女を目の前に苦笑いを浮かべた。

胸に顔を埋めていた男は怪訝な表情でマスカーレイドを睨み、大袈裟に舌打ちをした。


「わかってんなら、さっさと何処かに消えろ。」

「はいはい・・って言いたいけど、その娘もうボロボロじゃん。離してやりなよ。」

「テメェには関係ねぇ、失せろ。」


男は立ち上がりマスカーレイドに身体を向けると、女が弱々しい声を発した。


「助け・・・て・・・・。」



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あきゅろす。
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