道化の国
訪れた静寂と快楽への陶酔2
再度センリが促すと、美咲の手がゆっくりと動き出す。
表情を変えず射抜くような視線を浴びながら、微かに震える指が少しずつ纏っている服を剥いでゆく。
身に着ける物が下着だけとなった美咲は、腕に脱いだ服を抱き寄せ身体を隠すようにしている。
恥ずかしさからか、紅く染めた顔を俯かせ、足元に視線を落とした。
「身体を隠さないでください、それに・・・下着もです。」
「そんな・・・、出来ないよ・・・。」
冷たく言い放たれた言葉に、美咲は思わず顔を上げた。
しかし真っ直ぐ見つめてくるセンリと視線が交わると、また顔が下がっていった。
自分だけ心許ない格好の姿を、愉悦が込められた瞳で見つめるセンリを見ていられなかったから。
「仕方ないですね・・、では・・・こちらに。」
センリの呼び掛けに動けないでいると、再び声がかけられる。
「来てください、美咲。」
おずおずと顔を上げれば優しい笑みのセンリが手を差し出し、美咲が動くのを待っている。
美咲はセンリから目線を逸らしながらゆっくりとベッドに近寄ると、センリに腕を捕まれ身体を引き寄せられた。
ぐらりと傾いた身体に思わず目を瞑ると、背中に柔らかな感触受ける。
「今度は私の服を脱がせてください。」
焼け尽くすような熱を帯びた瞳を前に、美咲の手がセンリのタイへと動く。
美咲に覆いかぶさるようにするセンリは、美咲の行動を余す処なく眺め、潤んだ瞳に視線を移した。
タイを外し終えると身体に纏うシャツのボタンを外しにかかり、引き締まった胸元が美咲の目の前に徐々に広がってゆく。
しかしその動作はとてもゆっくりとしていて、センリを脱がす行為をどうにか早く終えたい自分と、恥かしさで手を動かしたくないと言う自分との間に挟まれ葛藤する。
「手が震えてますよ、・・そんなに恥かしいですか?」
「それは・・!・・・そうだよ・・、恥かしいよ・・。」
ほくそ笑むセンリは美咲の手に己の手を重ね、美咲の顔を覗くように窺った。
「私はそんな美咲の顔を見るのが好きです、もっと辱めたくなりますね。」
「や・・見ないで・・、本当に恥かしいんだから・・。」
美咲は身体を捩って顔を背けようとするが、センリは顔を寄せて唇を重ねた。
「逃げられると、益々追いかけたくなります。・・・これも男の性(さが)なのでしょうかね。」
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